第4章 忍び寄る魔の手
まず冷静に行動に移したのは障子くんだった。障子くんは複製腕に目や耳を複製させて、消えたみんなの場所を探る。
「障子くん、みんなは!?いるか?確認できるか?」
「…散り散りにはなってはいるが、この施設内にいる」
障子くんの言葉に皆は一度胸をなで下ろすも、目の前にいる敵に目を向ける。目の前には相変わらず黒い異形のものが出口までの道を塞いでしまっている。
「くそっ!物理攻撃無効でワープって、最悪の個性だぜオイ…」
「……委員長、四楓院さん…」
「「はい!」」
不意に呼ばれ、返事を返した。
「キミたちに託します。学校まで走って、この事を伝えてください!」
「なっ!!」
「えっ…!?」
「警報が鳴らず、そして電話も圏外になっていました。警報機は赤外線式…先輩…いや、イレイザーヘッドが下で個性を消し回っているのにも関わらず、無作動なのはおそらく…それらを妨害可能な個性がいて、即座に隠したのでしょう。…とすると、それを見つけ出すよりキミたちが走った方が早い!」
「しかし…!クラスのみんなを置いていくなど委員長の風上にも…!」
「………っ」
無論飯田くんは反対した…学級委員長としてクラスのみんなを置いていくわけにはいかない。彼はその理由がある。みんなを助けられるのも彼しかいない…。そして、13号先生が私まで指名したのはきっと私の個性を知ってのことだと思う。私の個性…美肌であらゆる摩擦を無くし、更には皮脂の滑りの力を併用すれば飯田くんと同じくらいの速度で走ることができる。でも……。私は下で戦っている消ちゃんを見る。あれだけの人数を相手に抹消の力はどれだけ持つのか、次使えるまでのインターバルはどれだけあるのか、連続して使用することで抹消の力が衰えることはないのか…。様々な疑問が頭を浮かぶ。相変わらず、私の嫌な胸騒ぎは無くなるどころか増す一方で。
「行けって非常口(飯田)!四楓院!外に出れば警報器がある!だからコイツらはこの中だけで事を起こしてんだろ!?」
「砂藤くん!」
「外にさえ出りゃ追っちゃ来れねえよ!お前らの足でこの靄を振り切れ!」
「瀬呂くん…!」
「救うために、個性を使ってください!」
「食堂の時みたく、サポートなら私超できるから!するから!お願いね、委員長!さくらちゃん!」