第4章 忍び寄る魔の手
「分析している場合じゃない!緑谷くん、四楓院くん、早く避難を!」
飯田くんに促されてデクくんは出口に向かう。私は、何故かそこから離れられなかった…なんだろう、この嫌な胸騒ぎ…
「…消ちゃん…」
「四楓院くん、早く!」
「う…うん!」
再度飯田くんに促されて、私は後ろ髪を引かれる思いでみんなの元へ向かった。13号先生の後ろからみんなが出口へと向かう。けれどその時、出口のすぐ目の前の床にブラックホールが現れ、そこから黒い何かが現れた。
「…させませんよ。初めまして…我々はヴィラン連合。僭越ながらこの度ヒーローの巣窟 雄英高校に入らせていただいたのは、平和の象徴オールマイトに息絶えて頂きたいと思っての事でして…」
「ーーー!!!」
「本来ならば、ここにオールマイトがいらっしゃるはず…ですが何か変更があったのでしょうか?…まぁ、それとは関係なく私の役目はこれ…」
黒い異形のものがそういったその時、13号先生が手を構えた。しかしそれより先に動いた影が2つ。
「「でゃあああっ!!!」」
それは、意外な2人だった。
「鋭児郎!勝己くん!!!」
呼んだ瞬間、凄まじい爆発と爆風が巻き起こった。
「その前に俺たちにやられる事考えてなかったか?」
鋭児郎と勝己くんは余裕の表情を浮かべていた。けれど煙が晴れていくと、2人の表情は一気に強ばった。
「危ない危ない…そう、生徒といえど優秀な金の卵…」
「ダメだ…退きなさい2人とも!!!」
13号先生は何かを感じ取ったのか、2人に退くよう指示を出した。でも、時は既に遅かった。
「私の役目は、あなた達を散らしてなぶり殺す!」
その瞬間、生徒たち周りを黒い霧が立ち込めた。ただの霧なら何とか防げた。けれど爆風を伴ったその霧は、生徒たちを吹き飛ばして散り散りにしてしまう。霧のサークルから逃れることが出来た13号先生と私、飯田くん、お茶子ちゃん、砂藤くん、瀬呂くん、障子くん、芦戸ちゃんは仰ぎ見ることしか出来なかった。…いや、その禍々しい膨大な力の前に、体が動かなかった。霧が晴れた時には既にそこにみんなの姿は無かった。
「…デクくん!鋭児郎!勝己くん!……みんな!!」