第4章 忍び寄る魔の手
「「「大マヌケ!!!」」」
3人のヴィランが余裕をかまして武器を構えたその時、消ちゃんの抹消が発動した。射撃をしようとした3人の個性は消され、戸惑っているあいだに捕縛武器で捕らわれる。
「なっ、個性が…!ぎゃああっ!?」
捕縛武器で捕らわれた3人は高く舞い上がり、そのまま引き寄せられてお互いの体がぶつかり合ってその衝撃で気を失った。驚く者もいれば、消ちゃんのことを知っているヴィランは警戒態勢に入る。
「馬鹿野郎!あいつは視ただけで個性を消すっつー、イレイザーヘッドだ!」
「消す?俺らみてぇな、異形型のも消してくれんのかー!?」
障子くんみたいな複数の腕を持ったヴィランが、そう叫びながら殴り掛かる。けど消ちゃんは余裕でサクサクとかわす。そして。
「いや、無理だっ!!!」
ゴッ…!!!
「うぐぁあ!?」
顔面に1発拳を食らわす。鈍い音を立てながら吹き飛んだヴィランを、彼は一切逃がさない。殴り飛ばしたヴィランを捕らえつつ、背後から殴りかかってきたヴィランたちを回し蹴りで蹴り倒し、その上から捕えたヴィランを落とす。消ちゃんは、余裕だった。昔よりヒーローとしての活動こそ少なくなったものの、それでも腕は衰えておらずヴィラン相手に充分対抗出来る。消ちゃんがヴィランと戦っている姿は初めて見るけど、正直ここまで凄いとは思わなかった。これが相澤消太…抹消ヒーロー イレイザーヘッドの戦闘スタイルなんだ。
「だが、お前らみたいなやつのうまみは…統計的に近接戦闘で発揮されることが多い…!だからその辺の対策はしてる。」
そう、消ちゃんはデクくんの言った通りメインは捕縛だけど、実はかなり肉弾戦に強い。私も消ちゃんから教えて貰って、組み手が出来るレベルまでにはなった。一芸だけじゃヒーローは務まらない…デクくんに向けた意味はこういう事だ。肉弾戦も強く、その上ゴーグルで目を隠されていたら誰の個性を消しているのか分からない。集団戦においてはそのせいで連携が遅れることになる。そこを見計らって一気に片をつける。ただ、個性の抹消ができるのは消ちゃんが目を開けている間だけで、瞬きをしたら解除されてしまうから、個性が発動している間に片をつけないといけない。だから消ちゃんの戦闘スタイルは短期決戦型。
「すごい…多対一こそ、先生の得意分野だったんだ」
「ただ、時間との勝負だよ。」