第4章 忍び寄る魔の手
不気味な雰囲気を漂わせる男の後ろには、常闇くんのダークシャドウみたいな男と、脳が剥き出しの生き物がいた。あれは、人間じゃない…!
「オールマイト…平和の象徴がいないなんて…子どもを殺せば来るのかな?」
その言葉を聞いた瞬間、背中に寒気が走った。殺される…そう思った。プロのヒーロー達が何と戦っているのか、何と向き合っているのか、それは途方もない悪意…矢先に、消ちゃんが個性を発動させる。
「はぁ!?ヴィラン!?バカだろ!ヒーローの学校に入り込んでくるなんてアホすぎるぞ!」
「先生!侵入者用センサーは…!?」
「もちろんありますが…」
13号先生が言葉を詰まらせた。つまり、侵入者用センサーはあるけど、それを妨害することが出来る個性を持ったヴィランがいるということは、まず間違いないと思う。
「現れたのはここだけか、学校全体か…何にせよセンサーが反応しねえなら、向こう側にそういうことが出来るヤツがいるってことだ。校舎と離れた隔離空間、そこにクラスが入る時間割…馬鹿だがアホじゃねえ…これは何らかの目的があって用意周到に画策された奇襲だ。」
「「「ーーー!」」」
轟くんも同じ考えみたいだ。確かに、こんなヒーローだらけの学校に足を踏み入れるなんて、余程勝利への確信がなければ無謀すぎる。つまり向こうはヒーローだらけの学校でも勝機を手にする確かな作戦を立ててきた可能性が高い…。いずれにしろ、今ヴィランと対抗して戦えるのは13号先生と消ちゃんだけで不利な状況は変わらない。
「13号、避難開始…学校に電話試せ。センサーの対策も頭にあるヴィランだ。電波系のやつが妨害をしている可能性がある。上鳴、お前も個性で連絡試せ」
「っス!」
「先生は!?1人で戦うんですか!?あの数じゃいくら個性を消すといっても、イレイザーヘッドの戦闘スタイルは敵の個性を消してからの捕縛だ…正面戦闘は…っ」
それは、いらない心配だよデクくん。なぜなら消ちゃんは……
「一芸だけじゃ、ヒーローは務まらん…。任せた、13号」
そう言い残すと、消ちゃんは個性を発動させて1人ヴィランの中に突っ込んでいった。それを合図としたかのように、ヴィランたちも構えた。
「射撃隊、行くぞ!」
「情報じゃ13号とオールマイトだけじゃなかった?誰よ?」
「知らねえ!が、1人正面突っ込んで来るとは…」