第4章 忍び寄る魔の手
誰かを守りたいという思いが彼の目に宿っていた。小さな巨人。私の頭の中で彼をそう変換した。
「エンジンブースト!!!」
私たちの頭上から聞き覚えのある声がした。上を見ると、そこには宙に浮き、個性を使って出口に向かう飯田くんの姿があった。飯田くんは出口の表示板の上に経つと、パニック状態の生徒たちに目を向けた。
「皆さん大丈ー夫!ただのマスコミです!なにもパニックになることはありません!大丈ー夫!ここは雄英!最高峰の人間にふさわしい行動を取りましょう!」
飯田くんの言葉を聞いて、パニック状態だった食堂付近は落ち着きを取り戻した。その後直ぐに警察が駆けつけ、マスコミはその場から撤退し、騒ぎは沈静化した。騒ぎの後、飯田くんはデクくんの希望で学級委員長に就任し、クラスを取り纏める役目を任された。
そんななか、ジリジリと魔の手が静かに雄英に迫っていた。マスコミの騒ぎは、ただの騒ぎではなかった。私たちはこの後、本当のヒーローとは何か、敵対するヴィランがどんなに恐ろしいものなのか、身に染みて実体験することになるとは、この時予想すらしていなかった。
「どうしたら、ただのマスコミにこんなことが出来る?唆した者がいるね…邪な者が入り込んだか、または宣戦布告の腹積もりか…」
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