第4章 忍び寄る魔の手
鯖の味噌煮はしょうがが効いていておいしいし、味噌汁は赤だしで優しい味…どれも濃すぎず薄すぎず美味しい。それよりも驚いたのは勝己くんだ。なんで私なんかを食堂に連れてきてくれたのか…普段の彼なら有り得なさそうなのに。
「あ、さくらちゃん!と、爆豪くん!?」
「あれ、お茶子ちゃん!飯田くんにデクくんも!」
「かっちゃん!?なんで!?」
「そらこっちのセリフだデク!!」
「まあまあ…落ち着いて勝己くん…」
なんでデクくん見るとこうなっちゃうかな…
「実は私今日寝坊しちゃって、お弁当持ってきてなかったの。そしたら勝己くんがここに連れてきてくれて、ご飯奢ってくれたの」
「へー!爆豪くんにもいいとこあるんだね!」
「うん、それこそヒーローのあるべき姿だ爆豪くんっ!」
そう言うと、デクくんたちは私たちの周りに座り、さっきの学級委員長の話を持ちかけた。
「いざ委員長をやるとなると、務まるか不安だよ…」
「務まるっ」
「大丈夫さ。緑谷くんのここぞと言う時の胆力や判断力は“多”を牽引するに値する。だから君に投票したのだ」
「君だったのか!?」
あー、飯田くんが0票だった理由はこれだったんだね。だいたいみんな自分に1票入れるし、飯田くんも委員長やりたがってたから不思議に思ってたんだけど、デクくんに投票してたんだね。
「でも、飯田くんも委員長やりたかったんじゃないの?メガネだし」
「何気にざっくり言うよねお茶子ちゃん…」
「やりたいか相応しいか否かは別の話。僕は僕の正しいと思う判断をしたまでだ」
「「「僕!?」」」
ポロッと口から出た飯田くんの言葉に、3人の声が揃った。
「いつもは俺って…!」
「あ…いや、それは…!!!」
「ちょっと思ってたけど、飯田くんて坊っちゃん?」
「ぼっ…!そう言われるのが嫌で一人称を変えていたんだが…」
飯田くんは深いため息を吐くと、飲みかけのオレンジジュースをテーブルに置いた。
「あぁ…俺の家は代々ヒーロー一家なんだ。俺はその次男だよ。」
「「「ええー!?すごーい!!!」」」
代々ヒーロー一家って事は、昔から飯田家はヒーローを生業としてきたってことよね?凄い…!