第4章 忍び寄る魔の手
「じゃあ委員長は緑谷、副委員長は八百万だ」
「ま…まじで…まじでか…っ」
「悔しい…」
委員長の座を狙っていたヤオモモちゃんは悔しげな表情を浮かべていたけど、その真逆でデクくんはガチガチだった。
「いいんじゃないかしら」
「緑谷、なんだかんだ熱いしな!」
「八百万は講評の時かっこよかったし!」
「…………っ」
梅雨ちゃんや鋭児郎、他のクラスメイトたちの賞賛もあって、学級委員長の選出は時間内に終わり、そのままお昼休憩に入った。
*****************************
「あーお腹すいたぁ…」
そういや朝ごはん食べてなかったなあ…お弁当なんて作る時間なかったし、でも食堂でお金使いたくないしなあ…。雄英の入学が決まってバイトをしようと思ったんだけど、バイトなんかする余裕ないと消ちゃんから言われ、私は渋々消ちゃんからお小遣いをもらっている。家事の大半を私がしているのと、家計を上手くやりくりしているからと言ってそれなりにくれてはいるんだけど、もし今の家を離れるとなった時にお金が無いと困るからほとんどを貯金に回してる。でも午後からヒーロー基礎学だし、食べないと体もたないかな…でもやっぱりー…
「一緒にご飯食べましょ、さくらちゃん!」
「あ、ごめん梅雨ちゃん、私今日お弁当持ってきてなくて…」
「珍しいじゃん、さくらがお弁当忘れるなんて」
梅雨ちゃんのあとから響香ちゃんがやってきた。
「今日寝坊しちゃって、作る時間なかったんだ」
「ふーん、そうなんだ。じゃあ食堂行くの?」
「ううん、行かないよ?」
「は!?アンタまさかお昼食べないつもり!?」
響香ちゃんが少し声を張り上げたせいか、教室にいたほかのクラスメイトの目線が集まった。
「響香ちゃん声大きいよ…!そんな大したことじゃないから!」
「いけませんわ四楓院さん…ただでさえお体が弱いのに…きちんと食べないと強くなんてなれませんわよ?」
「あ、でも、今日だけだから大丈夫だよ」
「だからって、これからヒーロー基礎学だよ?体力持たないよ?」
ガタン…!
教室の隅から聞こえた少し乱暴な音がして、そちらに目を向けると、その先には仏頂面でこっちに歩いてくる爆豪くんの姿があった。