第4章 忍び寄る魔の手
「静粛にしたまえ!“多”を牽引する責任重大な仕事だぞ...!やりたい者がやれるモノではないだろう。周囲から信頼あってこそ、務まる聖務...!民主主義に則り、真のリーダーを皆で決めるというのなら、これは投票で決めるべき議案!!!」
飯田くん、言うことは立派だったよ。でも...。
「「「「腕そびえ立ってるじゃねえか!」」」」
「なぜ発案した!!?」
「日も浅いのに、信頼もクソもないわ飯田ちゃん。」
言ってることとやってる事がめちゃくちゃだし、盛大にツッコミ食らってるし。
「そんなん、みんな自分に入れらぁ」
「だからこそここで複数票を取った者こそが、真にふさわしい人間という事にならないか?どうでしょうか先生!」
「時間内に決めりゃあなんでもいいよ」
「ありがとうございます!」
飯田くんからの質問に簡単に答えた消ちゃんは、眼鏡をかけると本を読み始めた。前の消ちゃんなら、寝袋を持ち出して寝てたとこだけど、ここ数年は夜にしっかり睡眠を取るようになったから、隙を見つけては寝るという事はなくなった。それは本人の口から聞いていた。信じてなかったわけじゃないけど、今日初めてその姿を見て少し安心した。
「相澤先生って眼鏡かけるんだね!初めて見たよ!」
隣から透ちゃんが身を乗り出して声をかけてきた。
「ドライアイな上にあの個性だから、そこに追い討ちをかけるようにコンタクトにしたら目が大変なことになるからじゃないかな?」
「あー、なるほど!言われてみれば確かに!」
そしてそのあと、飯田くんの提案で行われた学級委員長の投票結果は、デクくんが3票、ヤオモモちゃんが2票、その他は1票ずつ、または0票という結果になった。
「僕3票!?」
「なんでデクに!?誰が!!」
「まあ、お前に入れるよかわかるけどな?」
発案の張本人、飯田くんはまさかの0票という結果だった。すごく悔しがっていたけど、みんなの意見だからしかたない。かく言う私は下っ端でいたいから投票されなくて有難かったけど。
「というか、飯田くん、自分じゃなくて他の人に入れたの?」
「自分が一番やりたがってたのに、なにがしたいんだよ。」