第4章 忍び寄る魔の手
時間は8時25分、遅刻ギリギリだ。何とか間に合って安堵していると、何か正門前が騒がしい。大きなカメラや照明を持った人がいるから、多分マスコミかな?その中心にいたのはデクくんたちだった。
「キミ、オールマイトの授業はどんな感じですか?」
「え、いや、その、すみません!僕、保健室に行かなきゃいけなくて!」
デクくんは後退りをしながらマスコミから逃げた。続いてお茶子ちゃん。
「平和の象徴が教壇に立っている様子を聞かせてくれる?」
「よ…様子?えー…っと、筋骨隆々です!」
次は飯田くん。飯田くんはまともな返事を返しそうだけど…
「教師オールマイトについてどう思います?」
「最高峰の教育機関に自分は在籍しているという事実を殊更意識させられますね。威厳や風格はもちろんですが、他にユーモラスな部分など、我々学生は常にその姿を拝見できる訳ですから、トップヒーローとは何をもってトップヒーローなのかを直に学べるまたとない機会です!」
飯田くんブレないなあ…すると私の後ろからもうひとつの足音。振り返るとそこには…
「あ、爆豪くん、おはよう」
「おぅ...」
「相変わらずムスッとしちゃって...まだ気が晴れないの?」
「うるせえ...早くしねえと遅刻だぞ」
爆豪くんはズカズカとマスコミをかき分けて中に入っていった。私も急がなきゃ。チャイムが鳴ったら中に入れない。私もマスコミをかき分ける覚悟で正門に向かった。すると、そこにマスコミに対応する消ちゃんの姿があった。
「彼は今日非番です。授業の妨げになるんでお引き取り下さい。」
消ちゃんはシッシッと手を振り払う素振りを見せた。マスコミ嫌いな彼からしたら、虫とかと同じ部類なんだろうな...。その時不意に私と目が合った。
「走れ四楓院、遅刻ギリギリだぞ」
「あ、はい!」
消ちゃんに促され、マスコミをかき分けながら中に入った。教師と一緒にいるせいか、私はマスコミに絡まれることなく難なく中に入れた。
「消ちゃんのマスコミ嫌いは相変わらずだね」
「オールマイトさん、よくこんな中でヒーローの仕事できたな。」
「ちょっと…!少しでいいのでオールマイトに!」
1人のマスコミアナウンサーが門に足を踏み入れたその時、警報が鳴り響き、正門やありとあらゆる入口が強固な壁に覆われた。