第3章 自分に打ち勝て
「お前どっから出てくんだよ.....」
「騒々しい.....」
「常闇くん!机は腰掛けじゃないぞ!いますぐやめよう!」
「いいじゃん、そのくらい」
「なっ.....!」
「てかなに、その手」
「キミたち.....偉大な先輩たちが使用してきた机を蔑ろにする行為を看過することはできない!」
「騒々しい.....」
向こうも向こうで違う意味で盛り上がっていた。それを見ていた私たちは苦笑いを浮かべることしかできなかった。飯田くん、ブレないなあ。
「そういや、お前の名前、まだちゃんと聞いてないよな?」
「あ、そういえば!おれ、可愛くって声かけれなかったんだよな」
砂藤くんの言葉に、瀬呂くんもそう言ってきた。ただ、可愛くはない!可愛いのはお茶子ちゃんとかの事を言う!
「私は四楓院さくら。みんなよろしくねっ」
友達ができた。それが嬉しくて私は思わず笑みを浮かべてしまう。けれど何故か男性陣のみんな顔が赤い。
「みんないいの見たねー!四楓院ちゃんの笑顔最強っしょ!!」
「うん、普通にかわいいわ。」
「ちょっと芦戸ちゃん...!瀬呂くんもからかわないで...!」
「またまた〜謙遜しちゃって〜!」
「してないからっ!」
その時、教室のドアが開いた。
「なあ麗日!今度メシ行かね?何好きなん?」
「ん〜おもち〜...あれ!?デクくん、ケガ治して貰えなかったの!?」
「あー、これは僕の体力のアレで.....!それより、麗日さん、かっちゃんは?」
デクくんがそう言いながら、ふと教室を見回した。そしてそこに、いるはずの彼がいないことに気づいた。
「爆豪くんなら、さっき帰っ...」
バンー!!!
お茶子ちゃんの言葉を最後まで聞かず、デクくんは教室を飛び出した。
「あ、デクくん待って!!!」
私は咄嗟に彼の後を追いかけた。私やデクくんが保健室にいた間に、爆豪くんはみんなの制止を振り切って先に帰ってしまったらしい。デクくんが追いかけている理由は分からないけど、でも、私も行かなきゃ行けない気がした。
生徒玄関を抜けた先、ちょうど正門に向かって歩く爆豪くんの姿があった。いつもは気迫に満ちた背中が、何故か今はとても小さく見えた。