第3章 自分に打ち勝て
「この子、ずっとここにいたんだよ。あとできちんと礼を言っときな。」
「はい、ありがとうございました」
「今日の治療はここまで。明日また来るんだよ、いいね」
「はい」
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(さくらSIDE)
「午後の授業、すっぽかしちゃったね!」
「ごめん四楓院さん、一緒にいてくれてありがとう。でも四楓院さんまで相澤先生に締め上げられちゃうね.....」
「そこまで鬼じゃないから大丈夫だよ!」
怖そうに怯えるデクくんに、私はそう伝えた。いくら消ちゃんでも、けが人を捕縛武器で締め上げることはしない。まあ、あとが怖いかもしれないけど。
「あの人は、自分にも生徒にも厳しい人だから誤解されやすいけど、本当はすっごく優しくて、頼りになる人だよ」
「どうして、そんなこと知ってるの?まだ入学して1週間も経ってないのに.....」
「え、あ、いやそのそれは.....!!」
言葉をうまく流すと、ちょうど教室に着いて扉を開けた。それとほぼ同時に、皆がこっちを見た。
「お!?緑谷来た!お疲れー!」
鋭児郎をはじめ、芦戸ちゃんや瀬呂くん、砂藤くんが駆け寄ってきた。
「いやー!モニターから話聞いてたけど、熱かったぜお前!!」
「入試1位の爆豪と渡り合うなんてな!」
「よくよけたよ!!」
「1戦目であんなんやられたから、俺らも力入っちまったぜ!」
「エレガントには程遠.....「よくよけたよー!」
鋭児郎、瀬呂くん、芦戸ちゃん、砂藤くんから絶賛の声を浴びたデクくんは、少しテンパった様子だったけど、鋭児郎は自分に親指を立てる。
「俺ァ切島鋭児郎!今みんなで訓練の反省会をしてたんだ!」
鋭児郎をきっかけに、みんなが自己紹介を始めた。そういえば、自己紹介なしにポンポンと授業が進んでいったから、まだ名前と顔が一致してない人もいるっけ。
「おれ、瀬呂範太!」
「僕は青山優.....「あたし芦戸三奈!よくよけたよー!」
「蛙吹梅雨よ。梅雨ちゃんと呼んで」
「俺、砂藤!」
「え、あ、あのその.....」
「オイラは峰田!」
下からジャンプして自己紹介したのは、グレープみたいな頭と低身長が印象的な峰田くん。響香ちゃん曰く生粋のスケベらしい。
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