第3章 自分に打ち勝て
演習用ビルB。そこに居たのは障子くんと轟くん。あと尾白くんと透ちゃん。
「第2戦、ヒーローチームBコンビ!ヴィランチームIコンビ!」
「尾白くん、あたしちょっと本気出すわ!手袋もブーツも脱ぐわ!」
「あ、うん。でも葉隠さん、透明人間としては正しい選択だけど女の子としてはヤバいぞ、倫理的に…」
「...はっ。見ちゃダメだからね?」
「いや見えないし」
「それでは、屋内対人戦闘訓練第2戦!スタート!!!」
合図とともに、まず障子くんが屋内に潜入し、個性を使って当たりを探る。
障子目蔵くん。個性は複製腕。触手の先端に自身の体を複製することが出来る。早速先端に耳を複製した障子くんは、あとから来た轟くんに状況を伝える。
「4階北側のフロアに1人。もう1人は同階のどこか...素足だな。透明のやつが伏兵として捕らえる係か...」
「外出てろ...あぶねえから。向こうは防衛戦のつもりだろうが、俺には関係ない」
そう言うと、轟くんは壁に手を触れた。その瞬間建物の内部から外部、全てが氷に覆われた。どこかの雪の女王もびっくりだ...これは。その冷気はモニタールームにまで届き、先生を含め、みんなが震えていた。
「少しも寒くないわなんて歌ってられないわね...」
「おい、なんかジャンル違うぞさくら...」
あっという間に核がある部屋にたどり着いた轟くん。そこには氷に足を取られて身動きが取れない尾白くんの姿があった。戦う構えはとるけど、轟くんの言葉に動くことが出来なかった。
「動いてもいいけど、足の皮剥がれちゃ満足に戦えねえぞ」
「くっ...」
「仲間を巻き込まず、核兵器にもダメージを与えず、なおかつ敵も弱体化。」
「最強じゃねえか...!」
「ヒーローチームWIN!!」
先生の声が響いた瞬間、轟くんは核兵器に触れると氷を熱で溶かし始めた。建物全体を覆っていた氷も全て溶けた。
「悪かったな...レベルが違いすぎた」
轟焦凍くん...彼もヒーロー科推薦入学者4人のうちの1人。個性は半冷半燃で右で凍らせ、左で溶かす。範囲も温度も未知数。
「すげぇ...」
「なんて個性だよ...」
「さすが推薦入学者ね」
「よーし!全員集まって2回戦の講評!続いて3回戦を始めるぞ!」
「「「はい!」」」