第3章 自分に打ち勝て
「そんなん...アリかよ。個性使えよデク。全力のてめェを、ねじ伏せる!」
爆豪勝己...彼の特性は爆破。掌の汗腺からニトロのような汗を出して爆発させる。溜まれば溜まるほどその威力は増していく。
「ハハ...すげぇ。なぁ?どうしたデク...来いよ、まだ動けんだろぉ!?」
「...麗日さん、状況は!?」
余裕を見せる爆豪くんだけど、デクくんもまだ負けてない。もう一度気を引き締めたデクくんは、無線でお茶子ちゃんに繋げる。けれど、その姿が爆豪くんの癪に障ったみたいで。
「無視かよ...すっげえな」
また籠手にエネルギーを溜め始めた。
「先生、止めた方がいいって!爆豪あいつ相当クレイジーだぜ!殺しちまうぜ!?」
鋭児郎がオールマイト先生にそう言ったけれど、オールマイト先生はさっきとは裏腹に止めようとしない。
「いや...さっきから爆豪少年の発言からして、妙な部分で冷静ではある。みみっちいというかなんというか...」
「は!?あれのどこが冷静なんだよ!イカれてやがるぜ!」
「中断されない程度にぶっ飛ばす、当たらなきゃ死なない...爆豪少年なりにブレーキをかけている。だが、とにかく今は...
爆豪少年、次それ撃ったら...強制終了で君らの負けとする。屋内線において大規模な攻撃は、守るべき牙城の損壊を招く!ヒーローとしてはもちろんヴィランとしても愚策だそれは!大幅減点だからな!」
「〜〜〜あああ!じゃあもう、殴り合いだ!」
オールマイト先生の制止を止められない爆豪くんは、地面を蹴るとデクくんに殴りかかった。デクくんも、持ち前の判断力で爆豪くんの動きを読んだ。けれど爆豪くんはさらにその先へ。正面から突っ込んだかと思うと、咄嗟にデクくんの背後に回って籠手から小爆発を起こした。攻撃をもろに受けたデクくんはふらついてしまい、隙を見せてしまった。
「目眩ましを兼ねた爆破で軌道変更...そして即座にもう1回...考えるタイプには見えねぇが意外と繊細だな。」
「慣性を殺しつつ有効打を加えるには、左右の爆発力を微調整しなきゃなりませんしね」
「才能マンだ才能マン...ヤダヤダ...」
轟焦凍くん、ヤオモモちゃんの分析を聞いた電気くんがボソリと呟いた。