第3章 自分に打ち勝て
確かに、爆豪くんはお茶子ちゃんは完全に眼中に無しだった。デクくんが先に行かせても、後を追わずに視界はデクくん。戦闘訓練関係無しに本気で殴りにかかってる。オールマイト先生の言葉の聞きながらモニターを見た私は、爆豪くんの譲れない何かが見えたような気がした。
そんななか、先に進んだお茶子ちゃんが核が格納されている部屋にたどり着いていた。そこには見事にヴィランになり切っている飯田くんの姿があった。
「デクくん、飯田くんに見つかっちゃった!ごめん!場所は5階の真ん中のフロア!」
『もう時間もそんなにないハズ!タイムアップは敵側の勝ちだ!…こっちもかっちゃんが来てる。ここだけは…負けたくない!』
デクくんの目は、いつも以上に本気だった。絶対に負けたくない。その意思がその目にしっかりと現れていた。
「なんで使わねえ...舐めてんのか?デク…」
「かっちゃん!」
そこに現れたのは、狂気に満ちた爆豪くん。でも、デクくんの表情からは爆豪くんが怖いという感情は消えていた。勝ちたい。その思いを宿した目は、確かに爆豪くんをみていた。
「もう...君を恐がるもんか!!」
「てめぇのストーキングなら、もう知ってんだろうがよぉ」
「?」
「俺の爆破は、掌の汗腺からニトロみてぇなもん出して爆破させてる。」
「……?」
イマイチ理解できていない様子で、デクくんは身構えたまま耳を傾ける。
「『要望』通りの設計なら、この籠手はそいつを内部に溜めて…」
爆豪くんは、コスチュームの一つである両腕の籠手を身構えた。
まさかそれって……!!
「爆豪少年、ストップだ!……殺す気か!!!」
オールマイト先生も気づいたのか、咄嗟にストップをかけた。
「当たんなきゃ死なねえよ!」
オールマイト先生の制止を振り切って、爆豪くんは籠手のピンを外した。その瞬間、凄まじい爆発が起こり、建物は一部崩落。その地響きはモニタールームにまで届いた。
「おいおい、授業だぞこれ!」
「デクくん!!」
「緑谷少年!!」
土埃が舞う建物内は何も見えない。皆が最悪の事態を想定しながらモニターを見る。土埃が晴れると、そこに映し出されたのは、間一髪攻撃を防ぎ、爆風で飛ばされたデクくんの姿だった。しかし、あまりに想定外な出来事だったのか、彼の目はまた恐怖に戻ってしまっていた。