第3章 自分に打ち勝て
「いきなり奇襲...!?」
「爆豪ずっけー!奇襲なんて男らしくねえ!」
鋭児郎の言葉に、オールマイト先生はニヤッと笑う。
「奇襲も戦略。彼らは今、実践の最中だぜ?」
「緑くん、よくよけれたな!」
芦戸ちゃんが感心した声を上げたあと、次は上鳴くんの声が響く。
「爆豪が行った!!!」
その声に、目線を再びモニターに戻すと、爆豪くんがデクくんに向かって走り出していた。
「中断されねえ程度にぶっ飛ばすからなー!」
いつもの勝ち気満々の顔で駆け出したのもつかの間、その瞬間にデクくんが爆豪くんの体を正面から押えた。足を踏ん張らせ、爆豪くんの片腕をがっしりと掴んだデクくんは、そのまま背負い投げして思い切り床に叩きつけた。
「ぐはっ...!!」
「かっちゃんは...大抵最初に右の大振りなんだ...!どれだけ見てきたと思ってる...すごいと思ったヒーローの分析は、全部ノートにまとめてあるんだ。君が爆破して捨てたノートに...!いつまでも...雑魚で出来損ないのデクじゃないぞ、かっちゃん...!!!
ーーー僕は、頑張れって感じのデクだ!!!!」
「ーーーー!!」
デクくんのその言葉に、一瞬心臓がはねた気がした。彼が最後に口にした言葉は、まさに昨日.....。
『でもデクって頑張れ!って感じでいいよね...私その名前好きだなあ』
私が何気なしに彼に言った言葉だった。その、何気なしに言った言葉が、今デクくんの心を奮い立たせ、目の前にいるヴィラン...いや、爆豪勝己を超えたいという強い思いに変えていた。
「デクぅ...ビビりながらよォ...そういうとこがムカつくなァアアア!!!」
そう叫んで爆豪くんは、デクくんを睨みつけた。その合間に相方の飯田くんから無線がはいったのか、一方的に話して無線を切った。
「爆豪のヤツ...なに話してたんだ?今のは緑谷にかけた言葉じゃないだろ」
「小型無線でコンビと話してたのさ。持ち物はそれプラス建物の見取り図...そして、この確保テープ。これを相手に巻き付けた時点で捕らえた証明となる。」
「時間は15分で、核の場所はヒーローに知らされないんですよね?」
「YES!!」
「ヒーロー側が圧倒的に不利ですね、これ」
芦戸ちゃんがオールマイト先生に次々と質問をぶつける。
「ピンチを覆して行くのがヒーローさ」
「!!」