第3章 自分に打ち勝て
私が考えたコスチューム。それは黒を基調にして、体の形に沿ってピンクのラインがデザインされた全身スーツ。ネックから手の指先、脇を通って胸の形を囲って更に足へ。縦にラインが入るようにしたから脚長効果もあるし、さらにそこに黒のピンヒールのロングブーツを履く。首には白のロングストールを巻いて、頭にはスコープ機能が着いた黄色のゴーグルを装着すれば、私のコスチュームの完成。デザインモデルは、もちろん消ちゃん。
「さ、行きましょう。ほかの皆さんも集まっているはずですわ」
ヤオモモちゃんに促されて、私たちはグラウンドβに向かった。更衣室を出て、少し薄暗い廊下を進んだ先で男子たちと合流して、出口へ向かう。その先に、オールマイト先生はいた。
「格好から入るってのも大切な事だぜ!少年少女!自覚するのだ...今日から自分はヒーローなんだと!」
前に並んだ私たちを見たオールマイト先生は、いつものように歯を見せて笑った。
「いいじゃないかみんな...!かっこいいぜ!さあ、始めようか...有精卵ども!」
そのあとみんなから少し遅れてデクくんが合流して、本題に入る。
「さっ、戦闘訓練のお時間だ!」
「先生!ここは入試の演習場ですが、また市街地演習をおこなうのでしょうか?」
手をピッとあげて質問したのは、全身が白の鎧で覆われた生徒。声や仕草からして、飯田くんなのはまちがいないけど、ヒーロースーツがかっこいい。
「いいや、もう2歩先に踏み込む。ヴィラン退治は主に屋外で見られるが、統計で言えば屋内のほうが凶悪ヴィランの出現率は高いんだ。監禁、軟禁、裏商売...このヒーロー飽和社会!...真の賢(さか)しいヴィランは闇に潜む。キミらにはこれからヴィラン組とヒーロー組に別れて2対2の屋内戦を行ってもらう」
「基礎訓練無しに?」
「その基礎を知るための実践さ!ただし、今度はぶっ壊せばOKなロボじゃないのがミソだ!」
「勝敗のシステムはどうなります?」
「ブッ飛ばしてもいいんスか?」
「また、相澤先生みたいな除籍とかあるんですか?」
「別れるとは、どのような別れ方をすればよろしいですか!」
「このマントやばくなーい??」
1人言えばまた1人。次々浮かぶ疑問にみんな質問するけど、何せ先生が答える前に次から次へと来るため、オールマイト先生は困ったような顔をしていた。
