第11章 レッツゴー林間合宿
「俺は認めちゃいないが、世間じゃそうなってる。問題はそこだ…ほとんどの人間がヒーロー殺しに目が行ってる。雄英襲撃事件も保須で放った脳無も……全部奴に喰われた。誰も俺を見ないんだよ、何故だ?いくら能書き垂れようが結局奴も気に入らないものを壊していただけだろう。俺と何が違うと思う?緑谷」
緑谷は冷や汗を流しながらゆっくりと口を開いた。緑谷のなかで理解出来ること、納得できないこと双方の意見があった。
「……僕は……お前の事は理解も納得もできない……。ヒーロー殺しは納得はしないけど…理解はできたよ…僕もヒーロー殺しも…始まりは……オールマイトだったから。僕はあの時救けられた…少なくともあいつは壊したいが為に壊してたんじゃない。徒に投げ出したりもしなかった。やり方は間違ってても理想に生きようとしてた…んだと思う」
目線を合わせたそのとき…
「!?!?」
恐怖…畏怖…虞…何を例えればよいか分からないほど緑谷の体全身に今まで感じたことの無い寒気がした。血の気が引いた。死柄木の目は冷たく、恐怖のあまり体が硬直してしまった。
「あぁ…何かスッキリした。点が線になった気がする…なんでヒーロー殺しがムカツクか…なんでお前が鬱陶しいか分かった気がする。」
そして、この世のものとは思えぬ笑みを緑谷に向けた。その年齢からは相反するまるで老人のような皺だらけの顔、乾燥して裂けた唇。
「全部オールマイトだ…そうかぁ…そうだよな。結局そこに辿り着くんだ…ああ……なにを悶々と考えていたんだろう俺は…!こいつらがヘラヘラ笑って過ごしてるのも、あのゴミがヘラヘラ笑ってるからだよなあ。」
その瞬間緑谷に首に添えていた手に力が入り、緑谷は表情を歪めた。
「うっ……!!」
「救えなかった人間などいなかったかのように、ヘラヘラ笑ってるからだよなあ!!ああ…話せて良かった!いいんだ!ありがとう緑谷!」
「ぐっ…!」
「俺らは何ら曲がることはない!」
殺される……!!!
緑谷はついに足掻き始めた。しかし死柄木の手は緩まない。むしろどんどん強さをましていく。
「っと、暴れるなよ!死にたいのか?民衆が死んでいいってことか?」
「ーーー…!!」
「皮肉なもんだぜ、ヒーロー殺し…対極にある俺を生かしたお前の理想、信念…全部俺の踏み台となる」
.
