第11章 レッツゴー林間合宿
「皆…土産話っひぐ…楽しみに…うう…してるっ…がら!」
「まっまだ分かんないよ!どんでん返しがあるかもしれないよ…!」
「緑谷それ口にしたら無くなるパターンだ」
登校した教室では、虚しくも期末実技試験でクリア出来なかった上鳴、砂藤、芦戸、切島の4人がこの世の地獄を見たかのような表情を浮かべていた。
「試験で赤点取ったら林間合宿行けずに補習地獄!そして俺らは実技クリアならず!これでまだわからんのなら貴様らの偏差値は猿以下だ!」
上鳴が緑谷の目潰しをしながら叫び散らかす。
「落ち着けよ長ぇ…わかんねぇのは俺もさ。峰田のおかげでクリアしたけど、寝てただけだ。とにかく採点基準が明かされてない以上は…」
「同情するならなんかもう色々くれ!!」
瀬呂のフォローも虚しく、上鳴はさらに喚く。そんな彼らの様子を、さくらは苦笑いを浮かべて見ていた。朝イチの授業はテストの返却。一波乱起きそう…
「予鈴が鳴ったら席につけ」
ザワつく教室に、相澤は返却するテストその他諸々の書類を持って入ってきた。教室はさらにシンと静まり返り、思い空気が漂う。
「おはよう。今回の期末テストだが…残念ながら赤点が出た。したがって…林間合宿は全員行きます」
「「「「どんでんがえしだあ!!!!」」」」
「ほんとにきちゃったよ、どんでん返し」
「筆記の方はゼロ、実技で切島、上鳴、芦戸、砂藤、あと瀬呂が赤点だ」
「行っていいんスか俺らあ!!」
確かにクリアしたら合格とは言ってなかった。また嵌められたのだ。
「今回の試験、我々ヴィラン側は生徒に勝ち筋を残しつつどう課題と向き合うかを見るよう動いた。でなければ、課題云々の前に詰む奴ばかりだったろうからな。」
「本気で叩き潰すと仰っていたのは…」
「追い込む為さ。そもそも林間合宿は強化合宿だ。赤点取った奴こそここで力をつけてもらわなきゃならん。合理的虚偽ってやつさ」
「「「「ゴウリテキキョギィイー!!」」」」
さっきまでの重苦しい空気はどこへやら。教室中が歓喜の声で溢れかえった。またしても嘘で生徒を鼓舞するやり方に信頼に揺らぎが生じるのではと水差す生徒(飯田)もいたが、何はともあれ結果オーライだ。