第11章 レッツゴー林間合宿
そう言いながら消ちゃんはドライヤーで私の髪を乾かしていく。
「さくら…」
「なに?」
「短いのも好きだが、俺は髪は長い方がいい。卒業まで伸ばしとけ」
「え〜なにそれ!長いと邪魔なんだもん」
「んなもん、いくらでも結んでやる」
消ちゃんの言っている意味がイマイチよく分からなかった。この意味がまさか卒業式の日にわかるなんて、この時思ってもいなかった。
「乾いたぞ。さっさと支度して行くぞ」
「うん、消ちゃんありがとっ」
軽く彼の頬にキスをする。彼は不意打ちに弱い。普段は気だるそうな半目だけど、驚いた時や思いがけない時があった時はその目が大きく開く。さらに照れた時は…
「お前…」
「えへへ…」
首に巻いてる捕獲武器で口元を隠して視線を逸らす。この反応が可愛い…多分捕縛武器で隠れた口は多分ニヤついてる。幸せすぎる…!彼と恋人関係になって早3ヶ月が過ぎようとしているけれど、特に喧嘩とかしないで毎日過ごしてる。毎日が幸せだった。
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身支度を整えた私たちは出発するため玄関まで来た。私が先にローファーを履く。あとは消ちゃんが靴を履けばOKだ。
「おいさくら、忘れモン…」
「え…!?」
振り向いたその瞬間、消ちゃんの顔がすぐそこに迫っていた。その意味を私は分かっていた。
「ん…」
重ねられたその口から盛れる吐息が色気を帯びて、脳が蕩けそう。玄関のドアにホールドされ、完全に壁ドン状態。逃げられやしないし、逃げる気もない。消ちゃんは何度も唇の角度を変えて、貪るように吸ってくる。やがて唇は離れた。その時の消ちゃんは、してやったりって顔で…
「さっきの仕返しだ」
「…っ」
相変わらず恥ずかしい…慣れたつもりだったけど、何回しても顔が熱くなる。
「行くぞ」
「あ、待って消ちゃん!!」
顔が火照ったまま私は学校へと向かった。