第11章 レッツゴー林間合宿
期末テストも無事終わり、すっかり肩の荷がおりた。夏休みが目前に迫り、次は林間合宿が待ち受けている。行事や試験続きで正直体がしんどいけれど、弱音を吐いている暇は無い。林間合宿もきっと過酷なトレーニングがあるはず…今のうちに少しでも体づくりをしないと。日頃のトレーニングも大事だけど、体に取り入れる栄養も大事だ。私の最近の朝ご飯はプロテインのみ。朝起きた空腹状態で有酸素運動をするとさらに脂肪燃焼効果があるらしく、最近は朝起きたら学校に行く1時間前までランニングをしている。朝方といえ夏だから暑い。でも凄く気持ちいい。
7時頃ランニングを終えて家に戻ると、向かう先はシャワー。
「ふぅ…」
頭から豪快にシャワーを浴びて汗を流す。鏡に映るのは鍛えられた自分の身体。きゅっと引き締まったくびれ、うっすらと見える腹筋、程よく筋肉がついた足。そして何より、肌の色がいい。
「入学した時よりはマシ…か」
それでも、まだまだだ。USJ事件やステインとの戦いで自分の無力さを知った。私はステインによって負傷した手を見る。傷は完全に塞がったけど、大きな風穴があいたあとがハッキリと残っている。でもまだだ。もう誰も傷つけないために、失わないために…もっと強くならないと。私は気合いを入れるため自分の両頬を叩いた。髪と体を洗い、脱衣場の扉を開ける。
「ーー…っ!!」
「おはよう」
思考が停止した。そこにいたのは、起きて歯磨きをしている消ちゃんだった。
「し…消ちゃん…!お、おはよ…」
「突っ立ってないでさっさと服着ろ…襲うぞ」
「ばかっ!エッチ…!!!」
我に返った私は直ぐにバスタオルと着替えを浴室内に持ち込んだ。びっくりした…!まさか消ちゃんがいるなんて思わなかった…!ていうか消ちゃん、いるって分かってて歯磨きしてた!?まじまじと見られたわけじゃないけど恥ずかしい…
「朝から心臓に悪い…」
用意してあった制服を着て脱衣場に出ると、まだそこに消ちゃんはいた。
「どうしたの?」
「ここ座れ」
私は促されるがまま脱衣場の椅子に座る。すると頭に消ちゃんの手の感触があって、鏡を見ると。
「あ…」
消ちゃんが私の髪を乾かしてくれていた。
「お前最近朝髪濡れてるからなにしてんのかと思えば…ランニング行くなとは言わないが髪はちゃんと乾かせ。風邪ひくぞ」