第10章 突っ走れ期末テスト!
「四楓院!」
倒れた四楓院の元へ駆け寄ってきたのは、轟だった。
「焦凍…くん?」
「八百万の策がある。まずは相澤先生から距離をとるぞ!」
そう言うと四楓院を背中におぶると八百万と一緒に走り出す。激しい戦いだったのか、四楓院はすでにボロボロだ。しかし八百万が言うには作戦を決行するには、彼女の力もいる。少しでも体力が回復するまで逃げるしかない。
「先生の目、少し不安定になってるようです」
「USJの怪我か…で!?それを利用すんのか」
「いえ!ともかく一旦視界から外れませんと!時間さえあれば、私たちの勝ちですわ!」
「………時間…先生の視界から外れるって…!?出来るか?個性が使えねぇんだぞ」
「今から話す通りに!常に氷結の発動の確認を!」
個性が使えない、は悪い思い込み。一瞬…必ず隙が生じる。それは瞬きし、再び視られるまでの一瞬。八百万は信じていた。轟ならそれができると。体育祭で見せたあの大氷壁を…!
轟が出した大氷壁は、相澤の捕縛武器も凍らせた。彼の視界を遮った彼らはつかの間の作戦会議にはいる。
「復活した瞬間に遮った…これで個性を使える。今のうちに四楓院の応急処置と全容を…」
そう八百万の方へ振り向いた瞬間、八百万はこちらに背中を向けたまま発育の暴力を晒していた。が決してふざけている訳ではなく…
「相澤先生の武器…!?」
「ええ…素材や詳しい製造工程がわからないので全く同じモノは作れませんが、そのかわりある素材を織り込んだ私verですわ。住宅街である以上、被害はなるべくおさえなければなりません。そして、あの捕縛武器による素早く捉え辛い動き…私の考えはこうです」
それはこの試験が始まった瞬間から考えていた作戦…
「ーーー…これなら先生から逃げ切るよりも成功率は高いハズです!勝負は一瞬……よろしいですか?」
「ーーーーああ…文句なしだ。あとはこいつの体力が回復してくれたら作戦開始だ。」
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「(脱出ゲートは俺の背後…なら下手に追撃するより出方をじっくり伺おう)」
相澤は屋根の上で相手方の出方を伺っていた。
『私が負けるのは構わないけど、チームが負けるのは譲れないので!』
強さに満ちた彼女の表情が脳裏に浮かび、口元が緩む。