第10章 突っ走れ期末テスト!
まさかこんな形で消ちゃんと戦うことになるとは思わなかった。勝てるなんて思ってない。私が負けても構わない…けれどチームとしての負けは絶対に避けたい。だからせめてここで少しでも足止めして時間を稼がないと…。体力的にはまだまだ余裕はある。あとは、消ちゃんに通じるかどうか…
「時間稼ぎか…良い判断だ。だが、お前1人で稼げる時間は少ないよ」
「それはやってみないとわかりませんよ」
そうは言ったけど、確かに私1人だと稼げる時間は少ない。個性を消されたらさらに少なくなる…。ただ1つ賭けるとすれば…
攻撃は、私から仕掛けた。屋根を飛び、消ちゃんへ近づく。当然彼は捕縛武器を使う。
「ーー!?」
私は消ちゃんの視界の左側へ回り込んだ。彼から見て右。そう、それはたったひとつの賭け。USJ事件の時脳無の手によって負傷した左目には後遺症がのこっている。つまりは以前より目を開けていられる時間が格段に短くなっている。攻撃を仕掛けるならインターバルに入ったその時しかない。
「なるほど…そこを突いてきたか」
「もう!弱い私じゃない!!!」
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『もう少し話し合っても良かったんじゃないか?』
捕縛武器で吊るされた轟の頭に相澤の言葉がよぎっていた。そして作戦を話した時の八百万の表情も。
「(そういや、なにか言いたげだった…)」
「轟さん!!」
「八百万!」
そこへ当の本人、八百万が戻ってきた。しかし、その表情はさっきとはまるで別人で、自信に満ちていた。
「四楓院はどうした!」
「四楓院さんは今相澤先生と交戦中です!ですが、そんなに時間はありませんわ!」
「八百万!!なにか、あるんだよな?悪い、聞くべきだった!これでいいかって!なにかあるんだよな!?」
「あります!轟さん!私の、ありますの!相澤先生に勝利するとっておきのオペレーションが!!」
「とっておきのオペレーション?」
「ええ!私ほんとは考えてましたの!はじめから!!」
「いいから早く教えろ」
「ええ!ですがそれには四楓院さんの力も必要ですわ!」