第2章 波乱の初日
「...しょーちゃん?」
「?」
そう考えていた時、ふいに声をかけられた。リビングのドアの方を見るとそこには眠そうに目を擦りながらこちらを見るさくらの姿があった。
「...なんだ、起きたのか。まだ夜中だぞ」
「うん...なんか早く寝ちゃって目が覚めちゃった...リビングで寝ちゃってたんだけど...」
「俺が運んだ」
「そーだと思った...ありがとうしょーちゃん」
さくらはとぼとぼと歩き、冷蔵庫を漁り始めた。
「太るぞー」
「なっ...私のじゃないもん...!」
「違うのか?」
「消ちゃんに、なにか夜食を作ろうと思って。」
「ウィダーでいい」
「だめ!消ちゃんただでさえ顔色悪いのに...ちゃんと食べなきゃ!なにがいい?」
突然リクエストを求められたため、直ぐには思い浮かばず。
「茶漬け...」
「え、もうちょっと凝ったやつでもいいんだよ?」
そう言われ、消太はリクエストを出した。それは...
「んじゃあチャーハン」
「はい。味付けはいつもの?」
「あぁ」
「分かった!ぱぱっと作るから待ってて」
そう言うとさくらはエプロンをつけると、冷蔵庫を開ける。材料は豚肉、卵、小ネギとごはん...調味料はオイスターソースとマヨネーズ。豚肉や小ネギを食べやすい大きさに切っていく。テレビがついていない薄明かりの中、消太がキーボードを叩く音とさくらが夜食を作る音だけが静かに響く。カリカリに焼いた豚肉に溶き卵を入れて、さらにお弁当の残りのごはんにマヨネーズ、オイスターソースを混ぜたものを加えてかき混ぜれば出来上がり。お皿に盛って小ネギを盛りつければオムマヨチャーハンの完成。さくらが作る料理の中で消太の1番の好物。どこで学んだのか、初めて食べた時はその美味しさに料理の天才ではないかとさえ思った。
「はい、消ちゃん」
「あぁ、悪ィな...」
消太はキーボードを打つ手を止めると、レンゲに手をかけた。すくえば湯気がたち、濃厚な香りが広がる。それを口に含めば当然.....
「うまい」
「ほんと?よかった...いつも味付け目分量だから」
「お前は食わねえのか?」
「私はいいよ!今から食べたら太っちゃうし」
きゅるる...
「あっ...」
体は正直で、匂いに反応したのかお腹の虫が鳴いた。