第10章 突っ走れ期末テスト!
昼休み後、緑谷たちが演習試験の内容が分かったことをクラス中に報告した。
「やったー!んだよ、ロボ相手なら楽ちんだぜ」
「ホントホント!」
「お前らは対人だと、個性の調整大変そうだからな」
「ああ!ロボならぶっぱで楽勝だ!」
「私は溶かして楽勝だ!」
「あとは八百万に勉強教えてもらえば期末はクリアだ!」
「「これで林間合宿ばっちりだ!」」
上鳴、芦戸、瀬呂が喜ぶ中で相変わらずさくらの表情は暗かった。物間の『疫病神』という言葉が頭に強烈にインプットされてしまい、ずっと離れないのだ。自分は疫病神なのだろうか、自分がステインにしたことは正しかったのだろうか…ステインを倒して両親の仇をうったが、それは自己満足であってクラスに迷惑をかけてしまったのだろうか…そんな考えが頭をよぎる。自分の都合でしてしまったことであるから、考えはどんどんマイナスに向かい、同時に気分も落ちてしまう。今はそんなことに気落ちしてる場合じゃないということは分かってるが、頭や気持ちが言うことを聞かない。
「人でもロボでも、ぶっ飛ばすのは同じだろ」
教室に響いたのは爆豪の声。
「何が楽ちんだ、アホが」
「アホとはなんだ、アホとは!」
「うっせえな!調整なんか勝手にできるもんだろ、アホだろ!…なあ、デク!」
「!?」
「個性の使い方、ちょっと分かってきたか知らねえけどよ、てめぇはつくづく、俺の神経逆なでするな…」
爆豪は、話を緑谷に振った。話の内容は麗日が気づいていた。
「あれか…前のデクくん、爆豪くんみたいな動きになってた。」
「ああ、確かに…」
「体育祭みてえな半端な結果はいらねえ。次の期末なら、個人成績でいやがおうにも優劣がつく。完膚なきまでに差をつけて、てめぇぶち殺してやる!轟!てめぇもな!」
そう吐き捨てると、爆豪は教室を出ていった。
「久々にガチな爆豪だ…」
そんな教室での出来事を、相澤は教室の死角となるところから聞いていた。
「(焦燥?あるいは憎悪…爆豪…思った以上に、こじれてんな…)」
様々な感情が渦巻く。それぞれがそれぞれの覚悟を抱いて、テスト前の最後の週末を迎えようとしていた。
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