第10章 突っ走れ期末テスト!
「声を掛けてくれたのにごめんね」
「気にしないでいいよ!あ、そうだ昼ご飯食べに行こう」
「うん!行く!」
勉強会の予定が決まったところで、生徒たちは鳴り止まぬ腹の虫を鎮めるために食堂へと足を進めたのだった。
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切島と爆豪が食堂へ向かう。頭の後ろに手をやりながら切島は爆豪に「なぁ」と一言声をかける。
「お前、さくらを誘わなくてよかったのか?あいつ、相澤さんと勉強すると思うぜ」
「んなことお前に言われなくても分かってる」
「……いいのかよ。さくらの事好きなんだろ?爆豪らしくねえな。」
「………。」
いつもなら突っかかる爆豪だが、この時ばかりは言い返さなかった。体育祭で見せられた、さくらの発作が出てもやり遂げたいという相澤への強い思いと覚悟…あんな姿を見せられてしまっては自分の気持ちなど伝えられないのだ。自分にはまだ相澤ほど彼女を守れる知恵も実力も経験もないのだから。
力の差ーーー
それが爆豪を踏みとどまらせていた。
「今はまだ、その時じゃねえんだよ」
「今はーー、か。じゃあいずれその時は来るんだな?」
「…ああ。俺が必ずアイツを超える」
「ほんっと、負けず嫌いでプライド高えよなお前」
そう言いながら2人は食堂へと入っていった。
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場所は変わり、食堂のとある席に緑谷、飯田、麗日、蛙吹、葉隠、轟、四楓院が向かい合わせに座り、試験について話しながら食事をしていた。
「演習試験か…内容不透明で怖いね…」
「突飛なことはしないと思うがな…」
「筆記試験は授業範囲内から出るからまだ何とかなるけど」
「まだなんとかなるんや…」
「演習試験、ホント何するんだろう」
「1学期でやったことの総合的内容…」
「…とだけしか教えてくれないんだもの、相澤先生」
「今までやったことって戦闘訓練と救助訓練あとは基礎トレ…」
「四楓院ちゃん、相澤先生からなにか聞いてない?」
「え!?」
突然話を振られ、さくらは素っ頓狂な声を上げた。救助訓練で蛙吹が緑谷の力はオールマイトに似ていると言っていたため、薄々気づいていたが、彼女は凄く勘が鋭い。そのため、自分の秘密がバレているのでは…とヒヤヒヤすることも多い。
「い、いや私も何も聞いてないけど、どうして私が…」