第10章 突っ走れ期末テスト!
着いたショッピングモールは、さすが休日だけあってたくさんの人で賑わっていた。屋根がない開放的な設計で作られたショッピングモールは、空から差し込む太陽の光が店内を照らしていた。雨や雪が降れば屋根が自動的に設置される仕組みになっていて、言わば近未来的な雰囲気だ。そんなショッピングモールにあるオシャレなハワイアンカフェに、私たちは来ていた。人気なお店なだけあって、列に並んだ時間は少し長かったけど、待った甲斐があった。
「んー…!おいしすぎる♡」
私が頼んだパンケーキはココナッツミルクとクルミがトッピングされた、この店人気NO.1のメニュー。パンケーキはふわふわで口の中でとろけそうなくらいだ。消ちゃんはバターとはちみつがかかっただけのシンプルなものだけど、美味しそう。
私はパンケーキを小さく切ると、フォークに刺して消ちゃんの前にだした。その意味を直ぐに理解してくれて、彼は少し前のめりになって口を開けた。
「…うまい」
「ふふ…」
あまり見ない表情に、思わずほころんでしまう。
「何笑ってんだ?」
「ううん、なんか嬉しくって」
消ちゃんは私の言葉にさらに首を傾げた。
「私、本当に消ちゃんと付き合ってるんだなあって」
「俺もだよ」
そう言いながら消ちゃんはゆっくりと私に向けて手を伸ばした。そして優しく唇に触れ、拭う。どうやら私の口にパンケーキのココナッツミルクが付いていたみたいで、それを取ってくれた消ちゃんはペロリと舐めた。
「お前みたいな可愛い女、手放す気ねえよ」
「〜〜〜っ!!」
その一言に顔が一気に熱くなり、私は思わずパタパタと手で火照った顔を仰ぐ。こんな光景、絶対に誰にも見られたくない…!!
「顔、真っ赤だぞ」
「消ちゃんせいだよ…!」
一向に冷めない顔のほてり。視線をやれば目の前にはイタズラな笑みを浮かべながら見つめてくる彼。どこに目をやればいいのか分からなくなって、私はまだ残っているパンケーキを食べ始めた。
「ほんと、かわいいやつだな…お前。」
それは消ちゃんの本心であることは分かってる。けど面向かって言われると嬉しい半面やっぱり恥ずかしい。顔が真っ赤になるのも彼のせい。私は、幸せだった。