第10章 突っ走れ期末テスト!
「まあ、なんとかなるだろ…詰めすぎても次の勉強に手もつかんだろうしな。まァ…いわゆる『デート』ってやつだな」
「デ…!!?」
私は一気に顔が熱くなった。消ちゃんからそんな言葉が出てくるなんて思わなかった。確かによくよく考えてみれば、私と消ちゃんが極秘に付き合い始めてからというものデートをしたことが無い。1番の理由としては、学校関係者や生徒に遭遇したらまずいから、2人での外出は極力控えていた。けれど今はテスト前の最後の土日というのもあって、みんな家で勉強に励んでいるハズ。
「行くのか?行かないのか?」
「い…行く!行きます!!すぐ準備するから待ってて…!!」
そう返事をした私は急いで準備始めた。シャワーして、メイクして…ヘアアレンジして…服は、何着ていこうかな…。ご飯食べに行くだけだしな…あ、でもデートだし、やっぱりちゃんとしたやつ着ていこう。そんなこんなで決めたコーデは上は白のオフショルダー、下は膝まであるデニムスカート。髪はお団子にして、こなれ感を出すのに横髪や襟足の髪を少しだけ出して、仕上げにヘアバンドを付ければ…
「消ちゃん、お待たせ!」
「随分かかったな…っ」
「ど…どう?おかしく…ないかな…」
玄関で待っていた消ちゃんの服装は、至ってシンプルだけどオシャレだった。髪はくくり、無精髭も剃って眼鏡を掛けている。これは多分伊達。白のVネックのシャツに下はジーンズと本当にシンプル。だけど183センチという長身の彼にはそれだけで充分オシャレ感が出ていた。
「あぁ、似合ってる」
「消ちゃんも似合ってるよ!なんか、ペアルックみたいになっちゃったね」
「気が合う…ってことなんじゃねえか?」
こうして見てみると本当にかっこいい…。ここ最近ずっとヒーローコスチュームか、スウェット姿しか見てなかったって言うのもあるけど、ヒーローや教師の肩書きを外せばよくいるオシャレな男性だ。
「んじゃ、行くか」
「うん!」
私たちは靴を履いて家を出た。向かう先は最近新しく出来た近くのショッピングモール。土曜日だし人は多いだろうけれど、逆にその方が人混みに紛れやすい。私たちは最寄り駅まで向かい、そこからショッピングモールに向かう事にした。当然休みであって、周りには休みを満喫する学生が多く写る。中には当然カップルもいて、手を繋いで「次どこ行こうか」と話している。