第10章 突っ走れ期末テスト!
そして、あっという間に時は流れて6月最終週…期末テストまで残すところ1週間を切った頃、私はテスト向けて勉強に励んでいた。体育祭や職場体験などが重なって、正直言うと全くと言っていいほど勉強出来ていなかった。中間よりも範囲は明らかに広いし、林間合宿行きたいし地獄の補習も受けたくない。一応中間の時のクラス成績は10位と良くもなければ悪くもないちょうど真ん中で、中途半端。その時は実技テストでまだ肉体改造をしてなかったから、思うように行かなかったのもあるし、今回は上手く行けそうな気もする。けれどこの期末の問題は、私が一番苦手な数学だ。
「ん〜と…ここの公式がこうだから〜…あれ!?違う!あー…もうわかんない…」
頭がパンクしそう…!数学だけに時間が削られて他の科目に手が付けられない。
「苦戦してるな」
そう言いながら消ちゃんが淹れたてのコーヒーを持ってきてくれた。そう、今日は土曜日。勉強するにはもってこいなんだけど、なにぶん1人でしているから集中力がどうしてもかける。音楽を聞きながらやってもいいんだけど数学は別。公式がごっちゃになるから、数学の時は聞かないようにしている。
「エクトプラズム先生、難しいのばっか出してくるから…問題に出そうなところやってるんだけど、もう頭ぐちゃぐちゃ」
「どこだ?」
「え、教えてくれるの?先生直々に教えてもらうって、なんかみんなに悪い気がするし…大丈夫だよ」
「アホ…家にいる時は教師も生徒も関係ねえだろ…」
そう言うと消ちゃんは髪を無造作に結ぶと、眼鏡を掛けた。コーヒーを片手に私の横に座る。
「これはこいつをここへ当てはめて…」
消ちゃんの教え方は本当に上手だとおもう。数学が苦手な私でも、すんなりと頭に入ってきて、1度教えて貰ったら他の問題を難なく解くことが出来た。今夜あたりにまた忘れていないか復習しよう。
「ありがとう消ちゃん!あーっ、終わった終わった!」
椅子から立ち上がり、うんと背伸びをした。ふと時計を見れば時間は12時を少し過ぎた頃だった。ちょうどキリもいいし、お昼ご飯でも作ろうかな。
「お昼ご飯作るね!消ちゃん、何食べたい?」
そう聞くと、消ちゃんは少し悩んだような顔をしたあと私の方を向いた。
「そうだな…久しぶりに外に食いにでも行くか?」
「え、でも大丈夫?もし学校の人にでも会ったら…」