第9章 戻った日常
その日の午後…ヒーロー基礎学。
オールマイト先生の授業。その時間、私たちはコスチュームに着替えて訓練場に来ていた。
「ハイ、私が来た!ってな感じでやっていくわけだけどもね、はい、ヒーロー基礎学ね!久しぶりだ少年少女!元気か!?」
「ヌルッと入ったな…久々なのにな」
「パターンが尽きたのかしら」
「尽きてないぞ、無尽蔵だっつーの!職場体験後ってことで今回は遊びの要素を含めた救助訓練レースだ!!」
「救助訓練ならUSJでやるべきではないのですか!?」
そう言ったのは飯田くんだった。確かに水害や火災、事故など色んな場面を想定したUSJの方が救助訓練に向いているはずだけど…
「あすこは災害の訓練になるからな!私はなんて言ったかな?そう、レース!!ここは運動場γ(ガンマ)!複雑に入り組んだ迷路のような細道が続く密集工業地帯!5人または6人4組に分かれて1組ずつ訓練を行う!私がどこかで求難信号を出したら街角から一斉スタート!誰が1番に私を助けに来てくれるかの競走だ!!もちろん建物の被害は最小限にな!」
そう言いながらオールマイト先生は何故か勝己くんをしつこいくらいに指をさした。
「指さすなよ」
こうして救助訓練レースが始まった。1組目は私、デクくん、尾白くん、飯田くん、芦戸ちゃん、瀬呂くんだ。入り組んだ密集工業地帯…これはなかなかいいコンディションかもしれない。ステインとの戦いのおかげか、私の身体能力や個性は更に強さを増しつつあった。けれど、体育祭前から急に肉体改造とかをしてしまったせいで体が個性についていけなくなり、最近また発作が出るようになってきてしまった。挙句の果てにはステインに深手を負わされてしまい、今右手は使い物にならない。リカバリーガールの治癒で治療を重ねても完治までには早くても2週間はかかるらしい。そうとなれば今使えるのは足…デクくんも今ワンフォーオールは足を中心に鍛えてるみたいで、いい対戦相手だ。
「では、スタート!!」
ギュルルル…!
真っ先に先陣切ったのは瀬呂くんだった。彼は建物やパイプにテープを巻きつけて可憐に空中を舞う。私も負けていられない!
「ちょーっと今回俺にうってつけ過ぎ…る…?」
ダン…
瀬呂くんの隣を、私は軽々と通り過ぎた。そして、更にもうひとつの影…
「修行に、うってつけ過ぎる!」
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