第2章 波乱の初日
「デクです!!!!」
途端にデクくんは顔を真っ赤にしながらそう言いきったけど.....
「緑谷くん!?浅いぞ、別称なんだろ?!」
「コペルニクス的転回.....!!」
「コペ...?」
なぜかデクくんはちょっと難しい言葉を言いながら、顔を真っ赤にして手で覆っていた。面白くて、頑張り屋さんで努力家。それがデクくんだと今日思った。大変な1日だったけど、友達も出来て楽しい学校生活が送れそう。とりあえず今日は帰ってゆっくり休もう。
* * *
夕方17時半。やっと家に着いた。明かりはついていないから、まだ消ちゃんは帰ってきてないんだ...先生だし、残ってやらなきゃいけないこと沢山あるんだろうな。私はバッグから家の鍵を取り出して鍵を開ける。廊下の明かりをつけてリビングに向かう。バッグを無造作にソファに置くとそのままダイブした。
「はぁ〜疲れた...」
クッションに顔を埋めた。
「...消ちゃんの匂い...」
そこには...消ちゃんの匂いがついていた。消ちゃんの好きなたばこの匂い...。私の中ではこれが消ちゃんの匂い...昔から変わらない。幼稚園の時いじめられて泣きじゃくって慰めてくれた時も...小学生の時男の子と喧嘩して叱られた時も...中学生の時他校の男子生徒からレイプされて助けに来てくれた時も...雄英高校の受験の日頭を撫でてくれた時も.....。いつもそばには消ちゃんがいて、私はいつの間にか消ちゃんを好きになっていた。子どもにしか見られていないことくらい分かっているのに。そんな事を考えていたら急に眠たくなってきて、私は重い瞼を閉じた。
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