第8章 〝仇〟(※裏有)
「そっちに1人逃げたはずだが!!?」
「エンデヴァーさん!!」
やってきたのは、万年NO.2ヒーロー エンデヴァーだった。彼が焦凍くんのお父さん…フレイムヒーローといわれるだけあって顔を中心に炎が出ているのが印象的。確か焦凍くんの両親は個性婚…つまり、生まれてくる子どもに、より強力な個性を受け継がせるためだけに優れた配偶者を選ぶためのもの。焦凍くんの場合、エンデヴァー自身がオールマイト先生を超えられないためか、オールマイトより強い子どもを生ませてオールマイトを超えさせようとした…しかし、それは轟家の関係を拗らせ、彼のお母さんは精神的に追い詰められて今は病院にいると聞いた。
「あちらは、もう!?」
「多少手荒になってしまったがな!して…あの男はまさかの…」
「うう…放せ…!」
「エンデヴァー…」
「ヒーロー殺し!!!」
「待て、轟!!!」
エンデヴァーの声に、ステインがこちらを向いた。それと同時に目に巻かれていた包帯が外れ落ちた。
「「「ーーーー…!!!!」」」
そこにいた誰もが怖気付いた。彼の目は冷たく、おぞましかった。背筋が凍るような目に、足がすくむ。
「贋物…正さねば…誰かが…血に染まらねば…!ヒーローを取り戻さねば!!来い…来てみろ贋物ども…俺を殺していいのはオールマイトだけだ!!」
「……ーっ!」
けれど、その言葉を最後にステインは立ったまま気を失った。
後から聞いた話なんだけど、この時ステインは折れた肋骨が肺に刺さっていたらしい。誰も血を舐められてなんかいなかった。なのに、あの場であの一瞬…ヒーロー殺しだけが確かに相手に立ち向かっていた。
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