第8章 〝仇〟(※裏有)
「何が…ヒーロー…また誰かに守られて…血を流させて…私は…USJの時から何も、成長してないじゃない…!!」
アンタの言った通りよステイン…私は、デクくんや焦凍くんとは違う。未熟者だよ…彼らの足元にも及ばない。でもーーー…!
「「やめろー!!!!」」
今ここで立たなきゃ!二度と!!もう二度と彼らに、お父さんとお母さんに…消ちゃんに追いつけなくなっちゃう!!
「でゃあああッ!!!」
「バースト!!」
私は、ステインに蹴りを入れた。
「(速い…!!)」
「飯田くん!四楓院さん!!」
「解けたか…意外と大したことねえ個性だな…」
「緑谷くんも轟くんも、関係ない事で…申し訳ない…」
「またそんな事を…」
「だからもう…2人にはこれ以上血を流させるわけにはいかない」
飯田くんは、何かを決心したかのように2人を見た。さっきまでの目とはまるで違う、火がついた目だ。
「感化され、取り繕おうとも無駄だ。人間の本質はそう易々と変わらない。お前らは私欲を優先させる贋物にしかならない!ヒーローを歪ませる社会のガンだ。誰かが正さねばならないんだ。」
「時代錯誤の原理主義だ…飯田、四楓院。人殺しの理屈に耳貸すな」
「いや…言う通りさ…僕にヒーローを名乗る資格など…ない。それでも…折れるわけにはいかない…俺が折れれば、インゲニウムは死んでしまう」
「論外…」
臨戦態勢にはいったとき、1番最初ステインに襲われていた地元ヒーローが顔だけこちらに向けてきた。
「バカ…!ヒーロー殺しの狙いは俺とその2人だろ!応戦するより逃げた方がいいって!!」
「そんな隙を与えてくれそうにないんですよ…さっきから明らかに様相が変わった。奴も焦ってる…」
血液型という不確定要素に近接必須…あと持続時間の短さ…個性だけ見れば特別強力というわけでもない。多対一なんて最も苦手なパターンだと思うけど…。プロが来る前に私たちを殺そうと躍起になってるのは目に見えてわかる。物怖じしてくれたらと伝えた焦凍くんの情報が、逆にステインを本気にさせてしまった。
「轟くん!温度の調整は可能なのか!?」
ふいに、飯田くんがそう問いかけた。
「左はまだ慣れねえ!なんでだ!?」
「俺の脚を凍らせてくれ!排気筒は塞がずにな!」