第8章 〝仇〟(※裏有)
「血を採り入れて動きを奪う…僕だけ先に解けたってことは、考えられるのは3パターン…人数が多くなるほど効果が薄くなるか、摂取量か…血液型によって差異が生じるか…」
「血液型…俺はBだ」
「僕はA……」
「私はAB型だよ」
「血液型…正解だ」
赤黒血染…ヴィラン名ステイン。個性凝血…血を舐めることで相手の身体の自由を最大8分奪う。O、A、AB、Bの順で奪える時間は少ない。
「わかった所でどうにもなんないけど…」
「さっさと3人担いで撤退してえとこだが…氷も炎も避けられる程の反応速度だ。そんな隙見せらんねえ…プロが来るまで近接を避けつつ粘るのが最善だと思う」
「轟くんは血を流しすぎてる…僕が奴の気を引きつけるから、後方支援を!」
「相当危ねぇ橋だが…そだな…2人で守るぞ」
「2対1か…甘くはないな…」
ーーー兄貴がやられてからの飯田が気になった。恨みつらみで動く人間の顔ならよく知ってたから。そういう顔した人間の視野が、どれだけ狭まってしまうのかも知っていたから。今の今まで、母に会いにいかなかったが、体育祭後、あることをきっかけに会いに行った。その時母は泣いて謝り、驚くほどあっさりと笑って赦してくれた。俺がなにも捉われずに突き進むことが幸せであり、救いになると言ってくれた。以前のままの俺だったら、職場体験で親父の事務所を選ぶなんてことは絶対なかった。赦したわけじゃないし、赦す気もない。ただ奴がNo.2と言われている事実をこの眼と身体で体験し、受け入れる為だった。どんだけクズでも、No.2と言われるだけの判断力と勘の良さは認めざるを得なかった。簡単な事だったんだ、全部!簡単な事なのに見えてなかった!たった一言…ーーー!
「やめて…もうやめて…!私たちは…」
「やめて欲しけりゃ立て!!!なりてぇもん、ちゃんと見ろ!!!」
焦凍くんの言葉に、ステインに向けた言葉が頭をよぎった。
ーーーインゲニウムとブロッサム・ロック!お前を倒す、ヒーローの名だ!!!
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