第8章 〝仇〟(※裏有)
あの頃に戻れるなら戻りたい…!でも、それは叶わない…!二度と…!!
「夢を抱かせてくれたのよ…体が弱かった私もヒーローになれるって…!」
「兄も…立派なヒーローだったんだ!!!」
私たちは、アンタを許さない…!!!
「「殺してやる!!!」」
「…まずはアイツを救けろよ」
ステインに言われ、見た先にいたのはさっきの地元ヒーロー。
「自らを顧みず、他を救い出せ。己のために力を振るうな…目先の憎しみに捉われ、私欲を満たそうなど……ヒーローから最も遠い行いだ…だから死ぬんだ」
「ぐっ…!!」
なにこれ…!体が…動かない…!!
「じゃあな…正しき社会への供物…」
「黙れ…黙れ!!!何を言ったっておまえは兄を傷つけた犯罪者だ!!!」
飯田くんがそう叫んだ瞬間、街中からこちらへ凄まじい速さで何かが来た。それは迷いなく私たちの方へ向かってきたかと思えば、一瞬にしてステインが吹き飛んだ…いや…殴り飛ばされた。
「SMASHッ!!!」
緑谷出久…デクくんによって……。
「み…緑谷…くん……!?」
「救けに来たよ飯田くん、四楓院さん!」
「デクくん、どうして…!」
「ビンゴだ…」
殴り飛ばされたステインは、体勢を立て直すと一旦距離を取った。
「ワイドショーでやってた…!ヒーロー殺し被害者の6割が、人気のない街の死角で発見されてる。だから、騒ぎの中心からノーマルヒーロー事務所あたりの路地裏を…虱潰しに探してきた!2人とも動ける?大通りに出よう!プロの応援が必要だ!」
「身体を動かせない…!斬りつけられてから…おそらく奴の個性…」
「それも推測されてた通りだ…斬るのが発動条件てっことか…?」
「手を…出さないで…デクくん…!!デクくんには関係ないでしょ!!なんで来たのよ!!!」
私は、冷静に考えることすら出来なくなっていた。奴を殺したくて殺したくて仕方ないのに身体はいうこときいてくれないし、結局は誰かを巻き込んでるし、今は視界に映るデクくんでさえ鬱陶しく見える…
「何…言ってんだよ…」
「仲間が『救けに来た』…いい台詞じゃないか…ぶつかり合えば当然…弱い方が淘汰されるわけだが、さァ、どうする?」