第8章 〝仇〟(※裏有)
「そうなんだ!僕はてっきり13号先生のようなヒーローを目指してるのかと…」
「最終的にはね…でも、この間の体育祭で思ったんだ!強くなればそれだけ可能性が広がる!やりたい方だけ向いてても見聞狭まる!と!」
「なるほど…」
「それよりさっきから気になってたんだけど、震えてるね?」
お茶子ちゃんに言われて、私もデクくんを見ると確かに彼は震えていた。武者震いってやつ?
「ああ…これ空気イス」
「空気イス!?まさか授業中ずっと!?」
「そんなばかな!?」
「空気イスとか古くねーか!?」
「何言ってるんだ!空気イスは筋肉の等尺性収縮を応用した、動けない状態でも手軽にできるトレーニングだよ!」
「二兎を追う者は一兎をも得ず…」
皆がそれぞれ事務所を決めていく中、私も事務所を決めた。それは、東京保須市にあるマニュアル事務所。近頃、保須市周辺でヒーローを狙った襲撃事件が勃発しているという情報が耳に入ってきた。飯田くんのお兄さんもそこでやられて、再起不能の状態らしい。ヒーロー殺し…私の頭の中に、この間マイク先生と消ちゃんが話していた『ステイン』という名前が頭によぎった。もしかしたら、お父さんとお母さんの仇が討てるかもしれない。そう思った私はリストにマニュアル事務所のみ記入し、提出した。
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