第8章 〝仇〟(※裏有)
「さて、全員のヒーロー名が決まったところで、話を職場体験に戻す。期間は1週間。肝心の職場だが、指名のあった者は個別にリストを渡すからその中から自分で選択しろ。指名のなかった者は、予めこちらからオファーした全国の受け入れ可の事務所40件…この中から選んでもらう。それぞれ活動地域や得意なジャンルが異なる。よく考えて選べよ。」
「「「はい!!」」」
「俺は都市部での対凶悪犯罪!」
「私は水難に係わるところがいいわ…あるかしら?」
「今週末までに提出しろよ」
「あと2日しかねーの!?」
「効率的に判断しろ…以上だ」
授業の終わりを知らせるチャイムがなると、みんなは一斉にリストに目を通す。私もかなりの数のオファーが来ていて迷うところだ。リュウキュウ事務所にファットガム事務所等々世に名だたる有名なヒーローからも指名が来ている…しかも武闘派ばっか…!違う系統もあるけどウワバミ事務所のウワバミさんて、確か副業でモデルしてなかったっけ?
「ねーねー、みんなどこのプロ事務所に行くか決めた?」
「オイラはMt.レディ!!」
「峰田ちゃん、ヤラシイこと考えてるわね」
「違うし!?」
「芦戸もいいところまで行ったのに、指名ないのは変だよな」
「それー!!」
「デクくんはもう決めた?」
「まずこの40名の受け入れヒーローらの得意な活動条件を調べて系統別に分けたあと事件事故解決件数をデビューから現在までの期間でピックアップして僕が今必要な要素をもっとも備えてる人を掘り出さないといけないな……こんな貴重な経験そうそうないし慎重に決めるぞ。そもそも事件がない時の過ごし方も参考にしないといけないな、ああ忙しくなるぞうひよー」
「「「芸かよ最早!?」」」
またお経みたいにぶつぶつと唱えるデクくんを見て、みんな日常茶飯事とはわかっているものの、ツッコミを入れた。
「あ、ごめん…!夢中になっちゃって…!」
「相当悩んでるわね、緑谷ちゃん」
「実は私、もう決めてるよ!」
そう言ったのはお茶子ちゃんだった。お茶子ちゃんは拳を作ると、デクくんに向けた。
「ほんとに!?」
「どこ?」
「バトルヒーロー、ガンヘッドの事務所!」
「え、ガンヘッドってゴリゴリの武闘派じゃん!麗日さんがそこに!?」
「うん!指名来てた!」