第8章 〝仇〟(※裏有)
「そうっス!だいぶ古いけど、俺の目指すヒーロー像は紅そのものなんス」
「ふふ…憧れの名を背負うからには、相応の重圧がついて回るわよ」
「覚悟の上っス!!」
へえ…かっこいいじゃん、鋭児郎。小さかった頃の私は、とてもヒーローになんてなれやしないって諦めてたし、両親が死んでそれどころじゃなかった。でも今、こうして同じ屋根の下で一緒に同じ夢に向かって頑張ってるみんなを見て、私も負けてられないって思えるようになった。そう、春の風のように咲き乱れて、誰もが笑って暮らせる世の中にしたいって…。
「うあー、考えてねえんだよなまだ俺…」
「付けてあげよっか…『ジャミングウェイ』ってのはどう?」
「『武器よさらば』とかのヘミングウェイもじりか!インテリっぽい!カッケエ!!」
「ブフ…いやっ、せっかく強いのにすぐウェイってなるじゃん…!?」
「耳郎お前さ!ふざけんなよ!?」
向こうは向こうで盛り上がってるけど、響香ちゃんが笑いながら前に立つ。
「ヒアヒーロー イヤホンジャック」
「いいわね!次!」
障子くん
「触手ヒーロー テンタコル」
「触手のテンタクルと、タコのもじりね!」
瀬呂くん
「テーピンヒーロー セロファン!」
「分かりやすい!大切!」
尾白くん
「武闘ヒーロー テイルマン」
「名が体を表してる!」
砂藤くん
「甘味ヒーロー シュガーマン!」
「あまーい♡」
芦戸ちゃん
「ピンキー!!!」
「桃色!桃肌!」
上鳴くん
「スタンガンヒーロー!チャージとイナズマでチャージズマ!」
「かぁああ…シビれるー!」
葉隠ちゃん
「ステルスヒーロー インビジブルガール!!」
「いいじゃん、いいよ!さあ、ドンドン行きまくりましょー!!」
ヤオモモちゃん
「この名に恥じぬ行いを…万物ヒーロー クリエティ」
「クリエイティヴ!!」
轟くん
「ショート…」
「名前!?いいの!?」
「ああ…」
踏陰くん
「漆黒ヒーロー ツクヨミ」
「夜の神様!」
峰田くん
「もぎたてヒーロー グレープジュース!」
「ポップ&キッチュ!」
口田くん
「……っ」『ふれあいヒーロー アニマ』
「うん!分かった!」
ここまではかなり順調に進んだ。このままみんな決まると思っていたけど、A組の台風の目がまだのこってた。