第2章 波乱の初日
「炭素繊維に特殊合金の鋼線を編み込んだ捕縛武器だ。...ったく...何度も何度も個性使わすなよ。おれはドライアイなんだ!」
「「「個性すごいのにもったいない!!!!」」」
「時間がもったいない...次準備しろ...」
そう言うと消ちゃんはすぐに個性を解除して、何事もなかったかのようにその場を去っていった。それを見届けた緑谷くんが腫れ上がった指を押さえながら戻ってきた。
「緑谷くん、指大丈夫?」
「あ...ええと、へ...平気だよ!?」
「そっか...種目はまだあるから、無茶しちゃダメだよ?」
「うん、分かってるよ。ありがとう四楓院さん!」
「うんっ!」
「お前に無茶すんな言われても説得力ねえよっ」
その言葉と同時に、軽く頭をぽかっと叩かれた。犯人は、鋭児郎だった。
「痛ったーい!.....んもう!何すんのよ鋭児郎!!」
叩かれた頭を押さえながら私は鋭児郎をキッと睨んだ。けど鋭児郎は悪びれてる様子なんてこれっぽっちもなくて、してやったり!といった余裕の表情で笑っていた。
「ばかになったらどーすんのよ!」
「元からばかだろうが」
「キーっ!!待ちなさい鋭児郎ー!!!」
聞き捨てならん!私は鋭児郎を追いかけながら次の種目が行われる会場へ向かった。
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さくらと切島が走り去った様子を見届けた出久の傍に、梅雨と峰田、上鳴、芦戸がやってきた。
「うおーー!揺れるおっぱいたまんねええええ!」
「だよな峰田.....!50メートル走ヤバかったぜ...!」
「ええ!?ちょっと峰田くんに上鳴くん...どこ見てるの!?」
「ケロ...峰田ちゃんと上鳴ちゃんは生粋のスケベなのよ、緑谷ちゃん」
思ったことを言ってしまう蛙吹梅雨は、出久にそう話した。
「それにしても入学初日なのに仲良いわね、切島ちゃんとさくらちゃん」
「あの2人、幼稚園からの幼なじみだからね〜」
芦戸がそう言うと、峰田と上鳴が「ちくしょー!」と何故か悔しがる様子を見せた。
「幼なじみって、それイコール恋愛発展になるオチじゃねえかよ!恨むぞ切島ァアアア!」
峰田が顔を青ざめながらそう叫ぶ。
「それは多分ないよ」
「え、どういう意味だよ」