第7章 熾烈を極めし、雄英体育祭
『四楓院は、ほんの2週間前まで走っただけで発作を起こすほどひ弱な体だった。力も強かったわけじゃねえ…そんな四楓院が実力でここまで這い上がってきたからこそ、爆豪はそれに応えてんだろうが』
「消ちゃん…ありがとう…!」
私は立ち上がると、吐いた後に出た胃液をもう一度拭った。でも、これで隙ができた!
「勝己くん、これで決着をつけよう!!!」
私は両手の指を構えた。体全体の水分と皮脂を指に集中させて…!
「ビューティケア!!シーバームガトリング!!!!」
指先から放たれた無数の皮脂の弾丸なら勝己くんといえど防ぐなり回避するにしろ必ず隙が生まれる!その間にランチャーを食らわせれば!!!
ドゴォオオオオン…!!!
「きゃあああっ!!!」
ガトリングを、勝己くんはたった1発の爆発でいとも簡単に吹き飛ばしてしまった。でも、まだ!!!!
グッと拳を作って勝己へ向ける。勝己くんは私の手首を持つとひねりあげてまたも地面に叩きつけた。
「がっ…!!」
「ったく、油断も隙もねえ…いいぜ!こっからが本番ださくら!!」
私は…!!!消ちゃん…!!!
その瞬間、私の視界が歪み膝から崩れ落ちるようにたおれた。体が、言うことをきかない。体の限界…くそ!私は負けるわけにはいかないのに…!!動いてよ、体…!気持ちはあるのに体は動かないし、瞼が重いし、視界も歪んでよく見えない。ただ分かったのは、ピンヒールの音が聞こえるということ。ミッドナイト先生だ…
「消…ちゃん…」
「………四楓院さん行動不能、2回戦進出 爆豪くん!四楓院さんをすぐにリカバリーガールのところへ…」
「待て」
次に耳に入ったのは勝己くんだった。もう、視界もぼやけて、何も見えないに等しかった。でも、私の顔のすぐ前に勝己くんがいるのは分かった。
「…さくら…お前は、まだ負けちゃいねえ…」
「……っ…!」
「待ってろ…俺が勝ってきてやっから」
頭に触れたゴツゴツとした手から、勝己くんの何かを感じた。その瞬間、私の中のなにかがプツンと切れた。目頭が熱い。だめ、もう泣かないって決めたんだから…!
「だから、ちゃんと治してデクと一緒に見てろ」
その言葉を最後に私の意識は完全に消えたのだった。