第7章 熾烈を極めし、雄英体育祭
(さくらside)
「落ち着け…落ち着け…」
そう自分に言い聞かせる。心臓が破裂しそうなくらいドキドキ言ってる…緊張してきた…でも落ち着かなきゃ、上手く個性が出せなくなる…
その時、控え室のドアが開く音がして振り向くと、試合を終えた飯田くんが深いため息をしながら帰ってきた。
「お疲れ様、飯田くん」
「あぁ、ありがとう。そうか、次は君と爆豪くんが勝負するのか」
「うん…すっごい緊張してきた…怖いし…でもね。飯田くんやみんなの試合見てて、私も負けてられないって勇気もらったから!」
「四楓院さん…」
ガチャ…
「四楓院さん!!」
さらにそこへ、デクくんが入ってきた。
「デクくん!あれ、みんなの試合見なくていいの?」
「だいたい短期決戦ですぐ終わってて、今切島くんとB組の人やるとこだよ!芦戸さんが青山くんのベルト故障させて、慌てた隙に顎を1発失神KO。常闇くんは先手必勝。八百万さんが準備したものを使わせなかった。」
「1対1なら彼は、最強に近いな…しかしまァ、さすがに爆豪くんも女性相手に全力で爆発は…」
「するね」
飯田くんの言葉を、デクくんはキッパリと言い切った。そう、彼の事だから、きっと私が相手でも本気で勝負を挑んでくる。それに勝己くんは…
“俺が1位になったら…俺の女になれ”
私はふと首の痣に触れる。あの日付けられた痣は、消ちゃんがその名の通り、さらに大きなものをつける形で抹消されてしまったけど、消ちゃんに付けられたものは濃くてまだ完全には消えてはいない。
「みんな、夢の為にここで1番になろうとしてる。かっちゃんでなくとも手加減なんて考えないよ…僕は四楓院さんに沢山助けられた。だから少しでも助けになればと思って…四楓院さんの個性でかっちゃんに対抗する策付け焼き刃だけど考えてきた!」
「おお!四楓院くんやったじゃないか!」
「…ありがとうデクくん…でも…この試合は、私の知恵と力で戦わなきゃ意味ないの…でも心のどこかでデクくんを頼りにしていた自分がいたのも確か。みんなの試合を見て、私はとことん甘ったれだって思い知らされた…みんな将来に向かって頑張ってる。そんならみんなライバルなんだよね…だから…
決勝で…会おう…!
」
私はそう言い残して控え室を出たのだった。