第7章 熾烈を極めし、雄英体育祭
さくらの意味深な言葉に緑谷は頭を傾げた。
『さあ!どんどん行くぞ!頂点目指して突っ走れ!!ザ・中堅て感じ!?ヒーロー科 飯田天哉!VSサポートアイテムでフル装備!サポート科 発目明!!』
ヒーロー科と、サポート科の珍しい戦いに注目が集まる。だが、なにか様子がおかしい。
「どんな戦いになるんだ…」
「つーかなんだありゃ…飯田もサポートアイテムフル装備じゃねえか!?」
そう、原則ヒーロー科はアイテム系統は禁止なのだ。規律を重んじる飯田が自ら進んでやるとは、学級委員長の名が廃る…のだが。
「ヒーロー科の人間は原則そういうの禁止よ?ないと支障をきたす場合は事前に申請を…」
「は!!忘れておりました!!青山くんもベルトを装着していたので良いものと…!」
「彼は申請しています!」
「申し訳ありません!だがしかし!彼女のスポーツマンシップに心打たれたのです!!彼女はサポート科でありながら『ここまで来た以上対等だと思うし対等に戦いたい』と俺にアイテムを渡してきたのです!この気概を俺は無下に扱ってはならぬと思ったのです!」
「青くっさ!きゃあああ!…許可します」
『いいんかい…』
『まァ双方合意の上なら許容範囲内…でいいのか?』
『まァ許可が出たってことで、第4試合START!!!』
ーーー待って…発目さんてそんなこと言う子かな…?ひょっとして…
さくらは少し不安な気持ちを抱きながらも、始まった試合を見守ることにした。一方、試合開始となったステージは飯田がエンジンブーストで発目に向かって走り出す。
『素晴らしい加速じゃないですか飯田くん!』
「マイク?」
『なんで!?』
本来マイク、消太以外の声が響き渡るはずのない会場に発目の声が響き渡る。彼女は事前にヘッドマイクを用意していたのだ。
『普段よりも足が軽く上がりませんか!?それもそのハズ!!そのレッグパーツが着用者の動きをフォローしているのです!そして私は油圧式アタッチメントバーで回避もらくらく!』
『と…とりあえず個性の紹介だ!発目明、個性ズーム!本気出せば5キロ先のものもクッキリだ!!』
「どういうつもりだ!」
『飯田くん、鮮やかな方向転換!私のオートバランサーあってこその動きです!』
発目の行動に、実況解説は呆れることしか出来ず…