第7章 熾烈を極めし、雄英体育祭
上鳴は峰田に並ぶ生粋の女好き。どんぐりまなこで整った顔立ちだが、ここまで来たからには、それなりの実力者。上鳴はそう推測した。しかし…
『と、とにかく…START…!!』
「これ終わったら飯とかどうよ?俺でよけりゃ慰めるよ」
「…え?」
彼は、自信に満ち溢れていた。すでに上鳴の周りにはビリビリと放電している。
「多分この勝負、一瞬で終わっから…!無差別放電130万ボルト!!!」
上鳴が放った雷は、容赦なく塩崎へ牙をむく。しかし塩崎は狼狽えるどころか、冷静に上鳴に背を向けたかと思えば己のツルの髪を床に突き刺した。ちぎれたツルは巨大化し、彼女の前にツルの壁を作って上鳴の攻撃を防いだ。さらにはそのツルは地面の中を伝い、上鳴の体に巻きついて捉えた。勝負は、一瞬にして終った。
「う…ウェ…イ…」
『瞬殺!!あえてもう一度言おう!瞬・殺!!!』
「2回戦進出!塩崎さん!!」
「ああ…与えられたチャンス、無駄にせず済みました…」
『塩崎 茨、個性ツル!頭髪のツルは伸縮自在!切り離すことも出来る!水と日光さえしっかり摂っていればすぐに生えてくる!つまりハゲない!!』
観客席でその様子を見ていたA組の生徒も、試合を見ながら当たるかもしれない他の生徒の個性を分析しつつ、策を練る。
「切り離しがやっかいだったな…壁張りに拘束…上鳴の個性が完封された…」
「根性があるからなァ…そん中でうまく立ち回ればまだよかったが…」
「焦ってぶっぱなしだったな…」
「(あの塩崎って人、すごい個性…もしあの人と当たったら、どうやって戦えばいいのか…)」
さくらも手に冷や汗を握りながらそう考えていたが、彼女の隣にはさらには分析しながらお経を読むかのように、ブツブツと言いながらノートに書き留める生徒がいた。正体はヒーローオタクの緑谷だった。しかし彼は塩崎と上鳴の試合の前に行われた妖崎との引き分け腕相撲で敗れてしまっている。
「デクくん、対策考えてくれてるの?」
「ああ!?いや!これはほぼ趣味というか…せっかくクラス外のすごい個性見れる機会だし…!あ、そうそう…A組のみんなのもちょこちょこまとめてるんだ!四楓院さんの美肌も!」
「え、嘘!?デクくん会った時から凄いけど体育祭で改めてやっぱやるなぁって感じだよね!」
「?」