第7章 熾烈を極めし、雄英体育祭
「な…っ!そんなバカな…!ウチの魅力の石が砕けるなんて…ありえへん…!」
『緑谷!!石を砕いたあぁぁあ!!!ありえないなんてことはありえない!!!緑谷、奇跡の復活!これこそミラクル!!!』
「…最初は焦ったよ…でも、僕は君以上に魅力を感じてる人がいるんだ。妖崎さんは、今さっき“その人”を侮辱した…!君に、魅力なんて感じないよ!!」
「…………!!」
緑谷の左手の指が激しく鬱血していた。彼は、ワンフォーオールの力を指に集中させ、魅惑の石を砕いたのだ。
「生意気…!だったら何度でも魅了させるまで!」
妖崎がようやくその場から動いた。地面を蹴り、凄まじい速さで緑谷に迫る。
「蛇の目配せ(メデューサ・アイズ)!」
そう言うと、妖崎の髪先から無数の蛇が現れ、緑谷に襲いかかる。さらには彼女自身からも技が繰り出される。
「芳香の嵐(パヒューム・レッグ)!」
「なっ…!!」
無数の蛇の攻撃と、妖崎自身の技が一気に緑谷を襲いかかる。緑谷は、避けるだけで精一杯だった。
『デンジャラスな光景だ!普段の大和美人とはまるで真逆!マジで怖ェー!!妖崎、凄まじい猛攻で緑谷を追い込んで行くー!』
蛇の頭の乱撃を避けながら緑谷はタイミングを見計らい、妖崎の髪を掴んだ。そう、絶対に離すまいと思い切り力を込めて…
「ぁあああ…!」
「このまま場外へ投げ飛ばす気なん?ふざけたことを…!アンタが出てきィ!!」
妖崎も負けまいと髪に力を込めて緑谷を持ち上げた。空中では体勢を立て直すことはできない上に、地面がないため踏ん張ることもできない。しかし、妖崎は“彼の事を何も知らない”。
「…ワン・フォー・オール フルカウル…5%!!」
緑谷は、髪を掴むと空中で体をねじらせた。そして…
「んぬあぁああああ!!!」
「…このまま道ずれや!!!!」
どぉおおん…!!
緑谷は妖崎をステージへと叩きつけた。激しい爆音と砂埃が会場を覆う。風が砂埃を振り払い、視界が晴れる。
『これは初戦から激しいバトルだ!果たして勝負の結果はーっ!!!』
主審のミッドナイトが目を凝らす。ステージに引かれた白線には…
「緑谷くん、妖崎さん共に場外!この勝負、引き分け!!引き分けの場合は回復後簡単な勝負、腕相撲で勝敗を決めてもらいます!」
『なななんとー!初戦から引き分けー!まさかの展開だー!』