第7章 熾烈を極めし、雄英体育祭
「…はい!」
そして緑谷は、入場口からステージへと上がった。その瞬間、会場中からはち切れんばかりの歓声が響き渡る。
『1回戦!!成績の割になんだその顔!ヒーロー科緑谷出久VS…俺こっち応援したいぃい…天才的大和美人!同じくヒーロー科妖崎艶子!!ルールは簡単!相手を場外に落とすか行動不能にする。あとは「まいった」とか言わせても勝ちのガチンコだ!!ケガ上等!!こちとら我らがリカバリーガールが待機してっから!!道徳倫理は一旦捨ておけ!だがまぁもちろん命に関わるようなのはクソだぜ!!アウト!ヒーローはヴィランを捕まえる為に拳を振るうのだ!』
「ふふふ…ようは動けなくなればよろしいんやね?簡単な話やわ…ウチは四楓院はんに勝たなあかんさかい、この勝負いただきます。まあ、1回戦があの子でも勝てる確証はあるから心配要らへんのやけど…」
『レディイイイ…』
「…たかが2週間で力をつけたような粋がった小娘なんか、ウチと戦う前に負けるん目に見えるわ…」
『START!!!!』
「ーーー!!なんてこと言うんだ!!!」
「ウチの勝ちや…」
そう言い放った瞬間、怒りを露にして迫ってきていた緑谷の動きが停止…否…
『オイオイどうした!大事な緒戦だ!盛り上げてくれよ!?緑谷開始早々…石化してしまったー!!アホ面でビクともしねえ!!妖崎の個性か!!?』
「デクくん…!!」
『騎馬戦では一切手を出さず、五十嵐兄弟に任せっきりにして高みの見物をしていた妖崎艶子だが、ひょっとしてやべえ奴なのか!!!』
「ふふふ…緑谷はんも、ウチの魅力が分かるんやなぁ…そのまましばらく石になっとってください。心配せんでも、小1時間もしたら動けるようになります」
『妖崎艶子、個性メデューサ!彼女の美貌に魅了された者は石になる!また魅力を題材とした攻撃もあるため、それを受けても石化してしまうぞ!』
「ふふふ…今のは“魅惑の吐息 (ファシネイション・ブレス)”…ウチが話しながら放った吐息を、緑谷はんが吸うた事で石になったんや。…この勝負、ウチの勝…」
ピキ…っ…
艶子が勝利を確信した時、緑谷の左手から亀裂が走った。やがてそれは体中を巡り、顔に到達すると石は砕け落ちた。
「っ………!ハァ…!ハァ…!」
『ーーーこれは…!!』