第7章 熾烈を極めし、雄英体育祭
「私は…勝己くんとか……負ける気しかしないんだけどー…!」
でも、負けるわけにはいかない。
「さくらとか…」
「うげ、勝己くん…!」
「さくら…お前にも譲れねえモンがあるだろうが、俺も譲れねえ…完膚無きまでの1位になって、絶対ェお前を俺の女にする」
「…できるものなら、やってみなさいよ…私は…絶対負けないから!」
「けっ…相変わらず気だけは強ェ奴だ」
『よーしそれじゃあトーナメントはひとまず置いといてイッツ束の間!楽しく遊ぶぞレクリエーション!!』
とは言ってもーーー……
神経を研ぎ澄ます者、緊張を解きほぐそうとする者、それぞれの思いを胸にあっという間に時は来る。
「オッケー、もうほぼ完成」
『サンキューセメントス!…ヘイガイズアァユゥレディ!?色々やってきましたが!!結局これだぜガチンコ勝負!!頼れるのは己のみ!ヒーローでなくともそんな場面ばっかりだ!わかるよな!!心·技·体に知恵知識!総動員して駆け上がれ!!!』
入場口まで聞こえるマイクの声に、緑谷の心臓は破裂しそうなくらい脈打っていた。なんとか落ち着かせようと深呼吸をしていた時。
「Hey、遅れたけど、ワンフォーオール掴んできたな!」
現れたのはトゥルーフォームのオールマイトだった。
「…オールマイト…いや…まだ不安です…ヴィランに撃った時のイメージを電子レンジに当てはめて頭に浮かべてるんですけど、まだ気を抜くと今にも崩れそうな危うい感じで…全然で…それに見て頂いた通りなんですが…今の僕の体じゃ成功しても、ちょっとパワーが上がったくらいなものにしかならない。」
「うむ…以前話した0か100かの出力でで言えば、今の君の身体で出せているのは5くらいだね。」
「5……!!そう言われると本当僕って…みんなと運に恵まれたって感じですね…」
「そこは『こなくそ頑張るぞー』でいいんだよ!ナッシングプリンスめ!君の目指すヒーロー像はそんな儚げな顔か!?」
しょんぼりする緑谷に、オールマイトはチョップでキレのいいツッコミを入れた。
「ぐえっ…!」
「いいかい?怖い時不安な時こそ笑っちまって臨むんだ!!」
マッスルフォームになったオールマイトが、いつもの笑顔を浮かべた。
「ここまで来たんだ!虚勢でもいい、胸は張っとけ!私が見込んだって事忘れるな!」