第7章 熾烈を極めし、雄英体育祭
(さくらside)
「ん~おいしい~♡」
激しい勝負の後、体はボロボロだけど、何より身に染みるのはおいしいご飯。元々お昼は消ちゃんと食べる約束をしてたんだけど、まさかの最終種目進出で、その景気づけにと消ちゃんが食堂のご飯をごちそうしてくれた。『勝つ』にあやかってカツ丼だ。これがお肉が柔らかいしお出汁が染みておいしい。
「まさか、最終種目まで行くとはな…大した奴だよ、お前は」
「ん~…でも勝利の決め手は私じゃなくて踏陰くんとダークシャドウだったからなぁ…」
「だが、よく2週間でここまで鍛えたもんだ…まるで別人だ。驚いたぞ」
「合理的に訓練積んだから!」
「こいつ…」
「えへへ」
消ちゃんは満更でもなさそうな顔で頬杖をついて私を見ていた。その時、騎馬戦で梅雨ちゃんから受けた頬の傷に気づいたのか、消ちゃんはズボンのポケットから絆創膏を取り出した。
「ヒーローの、勲章だな」
「いてっ」
「何度も言うが、無茶はするな」
「わかってるよ…でも、多少の無茶をしなきゃ勝てないってこの体育祭で分かったから…この無茶をする理由は話せないけど、必ず話すから…だから今は見守っててよ、消ちゃん」
「…分かった。」
そう言うと消ちゃんは立ち上がり、私の頭を撫でた。
「全力で行ってこい、見てるからな」
「…うん!」
そして消ちゃんは一足先に会場へと戻って行った。
「随分と気に入られてはるんやね」
「なっ…妖崎さん!?」
それと同時に背後から現れたのは妖崎さんと右京さん、左京さんだった。そうだ、この3人も最終種目に進出したんだ…!
「お仲間さんに助けてもろて最終種目に進出しはったみたいやけど、四楓院はんの個性そのものは大した事ないみたいやし、この勝負ウチの勝ちやなぁ…」
「…確かに私は色んな人に救けてもらってここにいます。でも、妖崎さんもどうですか?さっきの騎馬戦…自分は高みの見物で仕掛けや攻撃、戦略…全てにおいて右京さんや左京さんに任せっきりにしてましたよね」
「おーおー、痛いとこ突いてきよったでこの嬢ちゃん…どうするんや艶子嬢」
「まぁええでしょう…これからの最終種目で見せつけてやりますさかい…後で後悔しても知らんで」
「望むところです…!私は必ずあなたに勝ちます!」
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