第2章 波乱の初日
「すげえ個性だな!」
「はぁ...はぁ.....ありがとう!」
私は息を切らしながら上鳴くんと目線を合わせた。金髪に黒のイナズマ模様が印象的な彼の個性は帯電...使いすぎるとショートしてちょっとアホになるみたい。それ以外は相手に感電させたりできるし、もし災害で停電が起きてもある程度までなら、彼の電気で自家発電のように一時的に停電を改善することもできる。
「しっかし、美肌っつっても、色々使い方あるんだな!」
「あ、うん...使いすぎちゃうと肌が荒れてヒビやあかぎれができちゃうけど...」
そう言いながら上鳴くんの方へ体を向けると、なぜか彼は急に悶絶して視線を逸らした。よく見ると、なぜか峰田くんも両手の親指を立てて上鳴くんに見せている。
「...ナイス18禁だぜ四楓院...!」
上鳴くんがそう呟いたその時ーーー。
「アンタらどこに目ェつけてんのさ...」
「「ぎゃああああ!!!!」」
隣にいた耳郎響香ちゃんが、個性であるイヤホンジャックを峰田くんと上鳴くんの頭に刺した瞬間、グランドに断末魔みたいな悲鳴が響き渡る。何があったんだろ...?そう疑問に思いながら、個性把握テストは握力の項目にうつった。力みすぎて皮脂が出ないように力を込める。ピピ...という計測の音を聞いて記録を見ると...20.3kg...ひ弱すぎか!!こんな軟弱なヒーローがいてたまるかっ!?そう自分で自分にツッコんだ。その傍らで...
「すげえ...!540kgって...アンタ、ゴリラ!?あ、タコか!?」
瀬呂くんが見上げていたのは障子目蔵くん。個性は複製腕...身長も高いしガタイもいいから、明らかにヒーロー向け。ほかのメンバーも人間離れした記録を叩き出している。...私と緑谷くんを除いて...これといった記録も出ないまま種目は5種目めのボール投げにうつった。ここでも、お茶子ちゃんが無重力の個性を最大限に活用して、無限という記録を叩き出した。
「すっげえ!?無限がでたぞ!!」
お茶子ちゃんに続いてボール投げの円に入ったのは緑谷くんだった。彼はまだ大記録を出していない...そのせいか彼の表情は強ばり、不安そうだった。最下位は除籍処分...そのプレッシャーが緑谷くんを押しつぶしそうな雰囲気だった。