第7章 熾烈を極めし、雄英体育祭
「左京…ええタイミングやったなぁ」
「あれは、妖崎さんと右京さんに、左京さん!!」
「四楓院はんを狙っとるんは、ウチらも同じです。左京、ハチマキを…」
「了解っと!右京、艶子嬢頼むで!!」
「あいよっ!」
左京は艶子を右京に任せると、パン!と両手を勢いよく己の胸の前で祈るような形を取った。更に地面に触れた瞬間青の稲光が起きたかと思えば、さくらたちの真横の土が盛り上がり、人の手の形を成す。驚くべき光景だった。
「な…なにこれ!土の手!!?」
「もろたでさくらちゃん!」
「踏陰くん、ダークシャドウ避けて!!」
「アイヨ!」
咄嗟の判断で、なんとか免れたが、土の手は容赦無く空中まで追いかけてくる。
「なんなんだあの個性…!どこまでも追いかけてくる!」
「逃がさへんで!!」
『五十嵐左京、個性錬金術!物体を分解して再構築、新たな物体を作ることができるぞ!』
「物体…つまりはここにある物全てが武器になるって事!?」
「壊すしか方法はなさそうだよ四楓院さん!!」
ーーー左京さんの手を皮脂で固める事ができれば個性は発動出来ない。でも、次の一手が早過ぎる…!!!
考える時間すら与えないと言わんばかりに左京は土を次々と錬成し、攻撃を仕掛ける。しかし、他のチームも黙っちゃいなかった。
「無差別放電 130万ボルト!!!!」
その瞬間、フィールド全体に雷が走り、色んなチームが感電する。仲間も巻き込んだが、これが轟の作戦だった。
「残り6分弱…後は引かねえ…悪いが我慢しろ」
さらに轟の氷の個性が発動…感電して動けなくなった他のチームに向けて氷を巡らせ、足を止めた。
『上鳴の放電で確実に動きを止めてから凍らせた…さすがというか…障害物競走で結構な数に避けられたのを省みてるな。』
『ナイス解説!!!』
「あーっ!ハチマキ…!くっそぉおー!」
「一応もらっとく」
轟は、拳藤チームのハチマキをどさくさに紛れて奪った。しかし本命は四楓院チーム。引き続き攻撃を仕掛ける。
「強すぎる…!逃げきれない!」
「牽制する!」
常闇がダークシャドウで轟チームに立ち向かったが、八百万の創造で作られた盾によって遮られた。
「創造…厄介すぎる…!」