第7章 熾烈を極めし、雄英体育祭

体育祭前からA組が食っていた空気を覆すことでより強い印象を与えられる。しかしそれは、発想から察するにさくらを狙うことに必ずしも固執していない。それを確信したさくらたちは、逃げ切りがやりやすいと判断した。しかし…彼らの前に現れた影に、それは容易ではないという方向へと向いてしまった。

｢そううまくはいかせてくれないか…｣

『さァ残り時間半分を切ったぞ！！』

｢…四楓院…そろそろ奪らせてもらうぞ｣

『B組隆盛の中果たしてーーー1000万ポイントは誰に頭を垂れるのか！！！』

｢あんま煽んなよ物間！同じ土俵だぞそれ！｣

｢…ああ、そうだね。ヒーローらしくないし…よく聞くもんね。恨みを買ってしまったヒーローがヴィランに仕返しされるって話し。｣

それはまるで、今目の前にいる爆豪がヴィランだと言うような言い方だった。いちいち人の癪に障るような言い方をする物間の態度に、短気な爆豪はさらに殺気に満ち溢れ、怒りに体が震え始めていた。それを抑えようと切島が宥める。

｢おォオオ…！｣

｢爆豪落ち着け！冷静になんねえとポイント取り返せねえぞ！！｣

｢おぉおおお…っし進め切島…！俺は今…すこぶる冷静だ…！！！｣

｢頼むぞまじで！！！｣

その頃、四楓院チームは窮地に追いやられていた。目の前に峰田、轟チームが挟み撃ちで迫ってきた。峰田チームは特に知らぬ間にハチマキを取られたようで、焦りが見えた。

｢良い策だったからあなたでも組んだのに…いつハチマキ失ったの｣

｢わかんねえよ！！けどこれでもう失うもんはねえ！あの2組のポイント、全力でかすめ取るぞ！｣

｢もう少々終盤で相対するのではと踏んでいたが…随分買われたな四楓院…｣

｢時間はもう半分！足を止めないで！仕掛けてくるのは1組だけじゃない！｣

｢飯田前進！八百万、ガードと伝導を準備！上鳴は…｣

｢いいよわかってる！しっかり防げよ！！｣

轟チームが何かを仕掛けようとこちらに向かって走ってきたその時、キィイン…という音が聞こえ、その瞬間にさくらたちとの間を遮るかのように巨大な土の壁が生えるように現れた。

｢…そう簡単に1000万ポイントは渡さへんで！｣

｢な、なんだこれは…！｣