第7章 熾烈を極めし、雄英体育祭
しかし、爆豪の攻撃をダークシャドウが上手く防いだ。
「なんだコイツ……ーっ!!?」
だがその時、爆豪がテープに巻き付かれ地面まで引き戻された。その正体は瀬呂だった。
『おおおお!?騎手が騎馬から離れたぞ!?良いのかあれ!!?』
『テクニカルなのでOK!地面に足ついてたらダメだったけど!』
『やはり狙われまくる1位と猛追を仕掛けるA組の面々共に実力者揃い!現在の保持ポイントはどうなっているのか…7分経過した現在のランクを見てみよう!』
普通なら盛り上がるところだが、実況のマイクや観客ですら盛り上がりがない。結果はこうだ。
1位四楓院チーム 1000325P
2位物間チーム 1350P
3位鉄チーム 1125P
4位拳藤チーム 685P
5位轟チーム 615P
6位鱗チーム 195P
7位(以下同点)爆豪チーム、小大チーム、角取チーム、峰田チーム、心操チーム、葉隠チーム、妖崎チーム 0P
『…あら!?ちょっと待てよこれ…!A組四楓院以外パッとしてねえ…てか爆豪あれ…!?』
「単純なんだよ、A組…」
それは、一瞬の出来事だった。地面に引き戻された爆豪のハチマキを、通り抜けざまに物間が引きちぎるかのように奪ったのだ。
「んだてめぇコラ返せ殺すぞ!」
「やられた…!?」
「ミッドナイトが第1種目と言った時点で、予選段階から極端に数を減らすとは考えにくいと思わない?」
「!?」
「だから、おおよその目安を仮定し、その順位以下にならないよう予選を走ってさ…後方からライバルになる者たちの個性や性格を観察させてもらった。その場限りの優位に執着したって仕方ないだろう?」
「組ぐるみか…!」
「まあ全員の総意ってわけじゃないけどいい案だろ?人参をぶら下げた馬みたいに仮初の頂点を狙うよりさ。」
あと物間は、何かを思い出したかのように爆豪に視線を送る。
「あ、あとついでに君、有名人だよね?『ヘドロ事件』の被害者!今度参考に聞かせてよ。年に一度、ヴィランに襲われる気持ちってのをさ!」
その侮辱的な言葉に、プライドが高い爆豪の頭の中で何かが切れる音がした。その瞬間、彼から殺気が溢れ出てきた。
「切島ァあ…予定変更だ…デクの前に、こいつら全員殺そう……!!」
B組は予選を捨てた長期スパンの策が見て取れた。